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【ドイツ】BMW、中韓バッテリーメーカー用のコバルトで直接調達開始。環境・人権基準を徹底

 自動車世界大手独BMWは7月9日、モロッコ資源採掘大手Managem Groupから5年間のコバルト直接調達契約を締結したと発表した。同社の電気自動車(EV)化に向け、主にEVバッテリーに必要なコバルト調達の安定供給とサステナビリティ調達を実現するため、直接調達に活路を見出した。

 両社は、2019年1月に直接調達での覚書を交わしており、今回本契約へと発展した。BMWは2023年までにEVを25車種で発表する予定で、欧州での新車販売に占めるEV比率は、2025年に3分の1、2030年には半分とする計画。そのため、コバルト調達量は2025年までに3倍にまで増えると見立てている。同社は、今回の契約で必要調達量の5分の4を確保。調達額は1億ユーロ(約120億円)程度。

 またBMWは、コバルト調達での環境基準や人権基準の遵守は最優先事項としており、直接調達はサステナビリティ調達の手段としても活用したことを明らかにした。今回調達したコバルトは、リチウムなどととおに、バッテリーメーカーの中国CATL(寧徳時代新能源科技)やサムスンSDI等に供給する。すなわち完成者メーカーが部品メーカーに替わって原材料を調達し、部品メーカーに引き渡すという新方式のサプライチェーンを構築したこととなる。

 同社はさらに、2021年から次世代電気自動車のドライブトレインでレアアースの使用を全廃すると発表。これにより、レアアース調達という脆弱性から開放されることになる。

 BMWは、EV開発のコアとなるバッテリー技術の研究開発を、サプライヤー任せにせず、自社での主導権を握りに行く戦略を採用している。2019年11月には、ドイツ・ミュンヘンに「バッテリーセル・コンピテンシー・センター」を設立し、バッテリーのバリューチェーン全体を視野に入れた技術開発を推進。その中で、電気自動車生産における二酸化炭素排出量の40%はバッテリー生産によるもののため、バッテリー生産での二酸化炭素排出量削減も重視している。ドイツ、米国、中国では、バッテリーの自社生産工場も持ち、タイにも建設を予定している。

 今後のバッテリー調達では、CATLからは2020年から2031年までで73億ユーロ、サムスンSDIからは201年から2031年までで29億ユーロ分の調達契約を締結済み。すでに両社との間では、事業電力を100%再生可能エネルギーに切り替えるよう契約も締結している。

 さらにBMWは7月16日、スウェーデンのバッテリー大手Northvoltから2024年から20億ユーロ分のバッテリー調達契約も締結した。Northvoltは目下、スウェーデン北部のシェルレフテオーで大規模工場の新設を進めており、そこから調達する。同社工場は、水力発電と風力発電のみで電力を調達しており、この点もBMWとしての契約の決め手となったという。コバルト等の原材料調達でも、Northvoltは自社とBMWの双方サステナビリティ基準を満たしている。Northvoltは2016年に創業。BMWとは2018年に協力関係を結び、BMWから資金と技術の両面で支援を獲得。BMWという長期パートナーを得たことで、大規模生産工場の建設に踏み切った。

【参考】【国際】アムネスティ、DRCコバルト採掘での児童労働・有害労働レポート公表。ソニーも評価対象(2017年11月24日)
【参照ページ】Raw material supplies for battery cells: BMW Group sources sustainable cobalt worth around 100 million euros from Morocco
【参照ページ】BMW Group continues to drive electromobility: Long-term supply contract with Northvolt for battery cells from Europe concluded

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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