食品世界大手米コカ・コーラ・カンパニーは11月14日、サステナビリティ目標の進捗状況を発表した。同社は2013年に2020年目標を設定して以降、重要テーマの目標を随時追加してきており、現在は、「水の還元」「糖分の削減、商品ポートフォリオ変革」「持続可能な包装・容器」「気候変動と持続可能な農業」「女性強化」の5つを中核テーマとしている。
水の還元
同社目標である「2020年までに年間水消費量の100%還元」を、5年前倒しで2015年に達成。同社は2010年以降、事業活動の水消費効率を18%向上させ、2012年以降、毎年1兆l以上の真水を地域へ還元している。2019年時点では、飲料商品に利用される水の160%を地域や自然に還元した。
また、水・衛生プログラムを通じ、これまでに世界中1,060万人以上を支援。ウガンダ等では、同社傘下のコカ・コーラ・ビバレッジ・アフリカを通じ、手洗い場設備を5,000ヶ所に提供した。新型コロナウイルス・パンデミック禍でも継続している。
糖分の削減、商品ポートフォリオ変革
同社は、2020年までに添加糖10%削減に取り組む欧州の業界イニシアチブに加盟。2017年から2019年にかけ、飲料約1,000品目の成分を再検討した。添加糖は、2015年から2019年にかけ14.6%削減。2019年単年でも年間約35万t削減した。
低糖飲料・無糖飲料は現在、同社グローバル商品ポートフォリオの約45%、グローバルの取引量の約29%を占める。そのうち炭酸飲料ブランドの約42%は、250ml以下の容器で提供している。
一方、グローバルの売上は2018年から2019年、砂糖の添加量を削減しつつも成長を実現。北米では、2017年から2019年にかけコカ・コーラゼロシュガーの販売数量が2桁成長を記録し、ミニ缶の売上も2桁成長を続けている。
持続可能な包装・容器
同社は2009年より米国で、ファウンテンディスペンサー「コカ・コーラ・フリースタイルマシン」を展開。ファウンテンディスペンサーとは、濃縮シロップを飲料水や炭酸水で希釈し、その場で飲料を製造する機器。消費者は、同じ容器を利用し、再充填することができる。同社のグローバルポートフォリオの20%以上は、詰め替え可能またはファウンテンディスペンサー用の容器となっている。
同社は、ファウンテンディスペンサーにタッチレス機能を追加。消費者はスマートフォンを介し、機器の画面に触れることなく、飲み物を選択・購入できる。2020年末までに全米のすべての機器に同機能が搭載される。
ケニアでは、リサイクル企業PETCOリサイクルを支援し、同国PETリサイクル率を2018年の5%から、2019年に35%まで引き上げた。同様プログラムをエチオピアとタンザニアでも開始。
インドネシアでは、同国政府の支援を受け、「Packaging Recovery Organization (PRO)」を発足し、プラスチック回収を促進。
インドでは、イニシアチブ「PET Packaging Association for Clean Environment(PACE)」を発足。2025年までにリサイクル可能な包装・容器の埋め立て処理を防ぐことを目標に、アジア最大の包装・容器廃棄物管理ベンチャーを創設に向け、1.4億米ドル(約145億円)以上を投資する。
また、米環境NGOのRecycling Partnership、米インパクト投資ファンド運用Closed Loop Partners(CLP)、世界自然保護基金(WWF)と、1億米ドル(約104億円)の基金を共同設立創設。廃ペットボトルから新たなペットボトルを生産する。
2020年には、サーキュラーエコノミー推進の英エレン・マッカーサー財団が運営するイニシアチブ「Plastics Pact」の米国イニシアチブ「U.S. Plastics Pact」に参画。飲料業界を超えたアクションを促進し、すべてのプラスチック包装・容器の確実な回収に取り組んでいる。
現在、同社の包装・容器の88%はリサイクル可能であり、20%はリサイクル素材で製造。2019年には、ボトルと缶の60%が、補充・リサイクル・回収可能なものとなっている。さらに、100%リサイクル再生PET(rPET)包装も18カ国で展開。同社にとって西欧最大の市場となったオランダとノルウェーでは、商品ポートフォリオ全体で100%rPETに移行した。
気候変動と持続可能な農業
気候変動については、2030年までにバリューチェーン全体での二酸化炭素排出量を2010年比25%削減する目標を設定。科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)の承認も得ている。2019年には、2010年比24%削減を報告済み。
持続可能な農業については、サステナビリティ調達を実施。2019年時点で、サステナビリティ調達率は、優先原料で54%、コーヒー、紅茶、大豆等ではほぼ100%を達成。新型コロナウイルス・パンデミックで苦境にあるサプライヤーを支援し、食品の品質、社会、環境基準を維持するためのサプライチェーン管理の原則にも取り組んでいる。
また、同社の「持続可能な農業指導原則」についても再検討。乳製品のサプライチェーンやその他の成分を組み入れた。今後も引き続きリスク評価を強化し、サプライヤーへのエンゲージメントプロセス合理化を進める。
女性強化
同社は、「聞く」「導く」「投資する」「擁護する」の4つに着目したフレームワークを策定。インクルージョン関連法の支持、今後5年間で、米国の黒人所有の企業に少なくとも5億米ドル(約520円)の投資、貧困コミュニティ支援のために、「Equal Justice Initiative 」に100万米ドル(約1億円)の寄付等に取り組んだ。
2020年までに500万人の女性起業家の経済支援を実現するというコミットメント「5by20」も推進。順調な進捗を見せ、2019年だけで女性130万人以上の支援した。
社内向けには、グローバルで従業員の女性比率50%達成を目標として設定。リーダー研修や社内パイプライン開発への投資を促進し、管理職層における黒人のプレゼンス向上に取り組む。
また、性別や人種・民族に関係なく、同一労働同一賃金を促進。性別についてはグローバルで、人種・民族については米国のみで取り組んでいる。採用についても、ダイバーシティ&インクルージョンを確保するよう、面接ガイドラインの更新等を行った。
同社は、四半期毎にダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの指標を上級管理職と共有し、投資家やステークホルダーに定期開示する。
【参照ページ】coca-cola leaders share sustainability progress and priorities with investors
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