欧州委員会は12月10日、3月に発表したサーキュラーエコノミー・アクションプランの一環として、電気自動車(EV)バッテリーを含めた全バッテリー(電池)のサーキュラーエコノミー化と安全性強化に関するEU法案の内容を発表した。原材料調達でのサステナビリティや、リサイクルした再生素材の活用等を義務化する。
【参考】【EU】欧州委、サーキュラーエコノミー・アクションプラン発表。2021年までに各分野の法制化検討(2020年3月13日)
同法案では、EUが掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けて、大きな成長が見込まれるバッテリー製品に対し、ライフサイクル全体での環境破壊を抑止することを目的としている。特に環境破壊を最小化するため、バッテリーの寿命の長期化や、使用後バッテリーを再目的化または修理製品化、リサイクルすることを促進する規制を設ける。規制の対象は、EU域内で販売される全ての種類のバッテリー。
具体的には、2024年7月1日から、バッテリー製品のカーボンフットプリント算出・開示を義務付けるとともに、再充電できないバッテリーは販売が禁止される。さらに2026年1月1日からは、カーボンフットプリントに応じたクラス分け表示が始まり、2027年7月1日からはカーボンフットプリントの上限基準が設けられ、満たさないバッテリーの販売が禁止される。
再生素材の活用義務化については、2027年1月1日から、産業用バッテリーとEVバッテリーについては、コバルト、リチウム、ニッケル、鉛の再生素材含有率の開示を義務化。2030年1月1日から、再生素材含有率基準を、コバルトで12%、リチウムで4%、ニッケルで4%、鉛で85%を義務化。2035年1月1日からは、含有率基準を引き上げ、コバルト20%、リチウム10%、ニッケル12%とする。
廃棄物回収・リサイクルでは、一般電池の回収・リサイクルでは、現在の回収率45%を、2025年に65%、2030年に70%にまで引き上げる。一方、EVや工業用のバッテリーは回収率を100%に設定する。回収後は、特にコバルト、リチウム、ニッケル、鉛の抽出とリサイクルを義務化し、その他の素材でもリサイクルもしくは高次元でのエネルギー回収を義務付ける。EVバッテリーについては、一般的な蓄電バッテリーとして再利用していくことを促進する政策も導入するとした。
【参照ページ】Green Deal: Sustainable batteries for a circular and climate neutral economy
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