自動車世界大手独メルセデス・ベンツは8月24日、ドイツ化学大手BASF及びドイツ熱分解スタートアップPyrum Innovationsと共同で、廃タイヤをケミカルリサイクルし、自動車部品を生産すると発表した。
Pyrum Innovationsは2007年に創業。BASFとは2020年から提携を開始し、同社の熱分解技術をBASFに提供している。BASFは廃タイヤをケミカルリサイクルした熱分解油を、食品廃棄物から得たバイオメタンを原油代替品として活用。さらに原油と混ぜた上で、バージンプラスチックと同等の品質のプラスチック部品を生産する。生産された製品は、マスバランス・アプローチで、非バージンプラスチックとして訴求可能。
生産する自動車部品は、まず2022年から同社のEQEクラスとSクラスの車両で、ドア・ハンドルを量産車として初めて搭載。さらにSクラスでは、クラッシュ・アブソーバーとしても搭載する。今後発売するSUVタイプのEQEクラスでも、同様にドア・ハンドルとして搭載する予定。将来的には、今回生産する原料でのプラスチックの使用量を徐々に増やしていく。現在他の応用できる部品を検討中。
メルセデス・ベンツは、2030年までに生産する自動車でのリサイクル材活用比率を平均40%まで高めることを目標としてい掲げている。廃タイヤから生成した熱分解油をバイオメタンと組み合わせて使用するのは今回が初。
同社は8月23日には、カナダ政府との間で、カナダでの電気自動車(EV)サプライチェーン全体の機会促進に関する覚書も締結している。特にEVバッテリーの分野で、カナダの主要産業である上流・中流・下流の鉱業・精製セクターとの連携を発展させることで合意した。
今回の覚書では、メルセデス・ベンツは、カナダのリチウム採掘大手Rock Tech Lithiumとの間で、2026年から年間最大10,000tの水酸化リチウムを調達する契約を締結する方向。Rock Tech Lithiumは、IRMA(責任ある採掘のためのイニシアティブ)のサステナビリティ採掘基準に従って監査された採掘場からのみリチウムを採掘する。そのままRock Tech Lithiumは、ドイツ・ブランデンブルク州グーベンで建設中の欧州初工場にて、カーボンニュートラル方式で精製。2024年に工場は完成予定で年間生産能力は24,000t。その後、メルセデス・ベンツのドイツ・シュトゥットガルとのEVバッテリー工場に供給される。
【参照ページ】From scrap tyres to door handles – Mercedes-Benz takes firm grip of circularity
【参照ページ】Mercedes-Benz signs Memorandum of Understanding with Government of Canada to strengthen cooperation across the electric vehicle value chain, including natural resources development
【参照ページ】Mercedes-Benz expands battery supply partnership with CATL on its way towards going Electric-Only: New production site in Hungary
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