欧州委員会は4月8日、2018年3月に策定した「サステナブルファイナンス・アクションプラン」をさらに強化すると発表した。欧州委員会は、新型コロナウイルス・パンデミックにより、サステナビリティや社会のレジリエンス(強靭性)の必要性はますます高まったと判断。2019年12月に打ち出した「欧州グリーンディール政策」と合わせ、気候変動の緩和と適応に向けたファイナンスをさらに加速させに行く。
今回EUが発表したのは、「サステナブルファイナンスを・アクションプラン改訂版」の策定に向けた方向性の骨子。内容は3つで構成されている。
- 依然として数多くの金融機関や事業会社が長期課題や機会への対応ではなく、短期的な財務フォーマンスのみに集中しているため、サステナブル投資の基盤を強化するためのフレームワークを構築する
- 市民、金融機関、企業への良いインパクトをもたらす機会を増やすため、構築するフレームワークではインパクトの最大化を狙う
- 金融機関及び金融システム全体で、気候変動及び環境リスクへのエクスポージャーを低減させる
【参考】【戦略】EU欧州委が定めた「欧州グリーンディール政策」の内容。〜9つの政策骨子を詳細解説〜(2019年12月12日)
【参考】【EU】欧州証券市場監督局、サステナブルファイナンスの規制強化方向性発表。情報開示やESGリスク分析(2020年2月12日)
【参考】【EU】TEG、EUタクソノミー最終報告書発表。企業と機関投資家に開示義務。原発除外、CCS厳格基準も(2020年3月11日)
今回、この骨子について、7月15日まで広く意見を募集する。特に、EU加盟国政府、NGO、アセットオーナー、運用会社、銀行、サービスプロバイダー、投資アドバイザー、事業会社、法律事務所、学者等からの意見投稿を呼びかけた。
これに対し、欧州投資信託協会(EFAMA)は4月8日に声明を発表した。「新型コロナウイルス・パンデミックにより、サステナビリティや社会のレジリエンス(強靭性)の必要性はますます高まった」とする欧州委員会の見識に賛意を表明。その一方で、原案への改善策として、以下について言及した。
- 現行のアクションプランでも多くの必要な改革が進められているので、改訂版では違う内容を含めるべき
- 現行では「E(環境)」のみだが、新型コロナウイルスで必要となっている「S(社会)」も対象に加えるべき
- スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードが改訂されたばかり。今「G(ガバナンス)」を改革対象にするのは疑問
- クロスボーダーでの議決権行使やスチュワードシップ実践の容易化のためのツールや手法の支援が必要
- アセットオーナーがリテラシーを向上させることが重要
またEU加盟国の地方政府代表344人で構成する諮問機関「地域委員会」でも4月6日、欧州委員会が3月に発表した「サーキュラーエコノミー・アクションプラン」を地方政府として推進していくための意見公募を開始した。特に「地方政府の役割」「経済システムの転換」「There is no waste, there are just resources」「目標設定と法整備」の4つで見解を募る。
【参考】【EU】欧州委、サーキュラーエコノミー・アクションプラン発表。2021年までに各分野の法制化検討(2020年3月13日)
【参照ページ】Consultation on the renewed sustainable finance strategy
【参照ページ】Consultation on the Renewed Sustainable Finance Strategy – EFAMA hopes for a more holistic and consistent approach
【参照ページ】New Circular Economy Action Plan: stakeholder's consultation now open. Helping the environment and the COVID-19 economic recovery
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