経済産業省の産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWGと、環境省の中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会は5月31日、合同会議を開催。「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」の原案を公表した。6月30日までパブリックコメントを募集する。
日本では、2002年に自動車リサイクル法が施行。同法では、自動車の所有者が「リサイクル券」を購入する形で費用を負担し、廃車から、シュレッダーダスト(クルマの解体・破砕後に残るプラスチックくず等、ASRという)、フロン類、エアバッグ類の3品目について、解体事業者等が回収することを義務付けている。自動車の解体のしやすさで、リサイクル券の価格が変わる。
2019年度の状況では、ASRのうち、68.1%が熱回収、28.1%がマテリアルリサイクル。フロン類は、フロン類回収業者による回収義務及び自動車製造業者等による破壊義務により最終処分されている。エアバック類は、2019年度の再資源化率が94.6%だったが、再資源化率のリサイクルと熱回収の内訳は不明。また再資源化についても海外輸出で実施されてきたものも多い。
近年の動向では、海外でプラスチック・雑品スクラップの輸入規制等が設けられたことで、日本での再資源化施設が逼迫。一部については直接埋立や単純焼却を実施せざるを得ない状況が発生したという。
今後の方針としては、サーキュラーエコノミーへの移行に向けて、自動車への再生資源や再生可能資源由来素材の利用を拡大するとともに、使用済自動車の部品・素材等を徹底的に分別回収し、部品としてのリユースによる再使用、リサイクルによる再生利用、それらが難しい場合には熱回収を行うという、3R+Renewableを推進することを掲げた。
また部品の回収・リサイクルでは、プラスチックやガラスは廃棄物価値が低く、ASRとして処分されている実態も指摘。さらに自動車には、鉄や銅、アルミニウム等のベースメタルや、白金やコバルト等のレアメタルについても回収・リサイクルしていく必要があるとした。そのため、ASR、フロン類、エアバック類の指定3品目だけでなく、使用済自動車全体のサーキュラーエコノミーを高度化していくことが重要と掲げた。但し、「高度化」の意味は不明。
【参考】【国際】世界経済フォーラムのCCI、自動車車体のサーキュラーエコノミー化に向け第1弾報告書発表(2020年12月22日)
【参考】【EU】欧州委、バッテリーのサーキュラー化法案発表。2024年CFP測定、2030年再生素材利用を義務化(2020年12月12日)
【参照ページ】「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」に対する意見を募集します
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