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【日本】金融庁、GFANZ寄りのトランジションファイナンス調査報告書発行。経産省とは距離か

 金融庁は4月7日、金融機関の気候変動トランジションに関する調査報告書を発表した。金融庁として、国際的なトランジションの在り方や経路等について、信頼性の高い手法を整理し、政策につなげていく狙いがある。

 今回の報告書の重要なポイントは、国際的に信頼性の高い手法として、グラスゴー金融同盟(GFANZ)が2022年11月に策定した「ネットゼロ移行計画(トランジション・プラン)(NZTP)フレームワーク」を位置づけた点にある。

【参考】【国際】GFANZ、ネットゼロ・トランジション計画(NZTP)フレームワーク草案発表。パブコメ募集(2022年6月17日)

 「トランジション」の定義については、2050年に実現する世界全体のカーボンニュートラル化を実現するためのソリューションを指す使い方と、2050年に実現する世界全体のカーボンニュートラル化でのソリューション(グリーン・ソリューション)にはならないものの、それまでの「つなぎ」のソリューションとなるソリューション分野を指す使い方の2つでブレている。

 その中で、同報告書では、「トランジション」の定義として、GFANZが定義している「組織の事業活動を、GHG排出をネットゼロにするパスウェイに合わせるための一連の目標、行動、説明責任の仕組みであり、世界のネットゼロ達成に沿った実経済での排出量削減を実現するもの」を紹介。同様の立場を採っている絵国のTPTや、ISSBの「気候関連開示事項(S2)」の定義も紹介した。その上で、各機関が出しているガイドラインやガイダンスの内容を概説した。

【参考】【イギリス】移行計画タスクフォース、企業のカーボンニュートラル実行計画開示ルール策定。将来義務化も(2022年11月28日)
【参考】【国際】ISSB、一般サステナビリティ開示事項S1と気候関連開示事項S2を最終合意。最終発行は第2四半期(2023年2月18日)

 日本では、経済産業省が主導する形で、2021年に「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」が策定され、グリーンではないトランジションへのファイナンスを強化する方針を掲げた。また、同じく経済産業省が中心となり、「ファイナンスド・エミッションに関する課題提起ペーパー」を発表し、GFANZのアプリーチにアンチテーゼを突きつけている。

【参考】【国際】経産省、環境省、金融庁、クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針策定(2021年5月10日)
【参考】【日本】経産省等、ファイナンスド・エミッションに関する課題提起ペーパー発表。国際協議へ(2023年2月22日)

 しかし今回の金融庁の報告書は、同基本方針にはほぼ触れず、課題提起ペーパーについても金融機関に動向への注視を促すだけの表現となった。同報告書は、4月13日に開催された金融庁の「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」にも提出されている。今回報告書は、金融庁として、経済産業省寄りの姿勢ではなく、国際スタンダード寄りの姿勢を明確にしたものなのか、単に国際スタンダードの情報を整理したものなのかは、まだ不明。

【参照ページ】「金融機関における国際的に信頼たる脱炭素トランジションに関する調査」報告書の公表について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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