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【日本】政府、基本法改正後初の食料・農業・農村基本計画を閣議決定。食料困窮者対策も新設

【日本】政府、基本法改正後初の食料・農業・農村基本計画を閣議決定。食料困窮者対策も新設 1

 日本政府は4月11日、2024年に25年ぶりに改正された食料・農業・農村基本法に基づき、食料・農業・農村基本計画を5年ぶりに閣議決定した。主に、食料安全保障と環境と調和のとれた食料システムの確立の計画が新たに固まるとともに、2030年度目標も設定された。

 改正された食料・農業・農村基本法の基本方針では、改正前の「食料の安定供給の確保」を「食料安全保障の確保」に発展。さらに「環境と調和のとれた食料システムの確立」の概念が初めて盛り込まれ、食料供給に伴う環境負荷の低減が初めて盛り込まれた。また、改正前にも定められていた「多面的機能の発揮」「農業の持続的な発展」「農村の振興」の3つも引き続き含められた。

 今回、閣議決定された食料・農業・農村基本計画では、「食料の安全保障の確保」を「食料の安定的な供給」「輸出の促進」「国民一人一人の食料安全保障」の3つの項目に分けつつ、「環境と調和のとれた食料システムの確立」と「多面的機能の発揮」を1つの項目に統合。それに「農村の振興」と、全体共通の「国民理解の醸成」「自然災害からの復旧・復興」の合計7つの項目で構成されている。

 食料の安定的な供給の2030年度目標では、供給カロリーベースの食料自給率は前回の基本法と同じく45%(2023年度実績は38%)。生産額ベースの食料自給率は前回の75%から69%(2023年度実績は61%)へと引き下げた。そして新たに摂取カロリーベースの食料自給率の目標を設け、53%(2023年度実績は45%)とした。

 改正前の基本計画では、食料自給率関連の目標しか存在していなかったが、今回の基本計画では幅広い分野で目標とKPIを設定した。まず、農地面積は、前回は見通しとして414万haとしていたが、今回は目標として412万haを掲げた。特に水田に関しては、水稲栽培から麦、大豆、米粉用米への生産転換を促進してきた水田活用の直接支払交付金(水活)を根本的に見直し、コメも含めた作物毎の生産性向上等への支援に切り替える。

 さらに、49歳以下の農業の担い手数を新たに目標として掲げ、2023年度の4.8万人を維持するとした。女性の農業委員、農協役員、土地改良区理事も現在の2倍以上に増やす。生産性に関しては、農地の大区画化やスマート農業技術等の導入により、1経営体当たりの生産量を、2023年度の47tから86tへと1.8倍に増やす。コメ、小麦、大豆では、生産コストの低減目標も設定した。肥料でも、リンの国内資源利用割合を2021年度の25%から40%にまで引き上げる。

 輸出の促進では、今後の人口減少を見据えつつ、国内の食料需要減少下でも供給能力を確保できるよう海外需要を取り込む形での生産量を維持。新たに輸出額目標を5兆円(2024年度実績1.5兆円)に設定した。食品産業の海外展開による売上も3兆円(2022年度実績1.6兆円)に増やす。インバウンドの食品消費額も2023年度の1.6兆円から4.5兆円にする。

 国民一人一人の食料安全保障では、低所得者層が経済的な理由で食料を十分に入手できない割合が増えていることから、経済的アクセスの目標を設定。経済的な食品アクセスの確保に取り組む市町村割合を現在の55%から80%にまで引き上げる。フードバンクの食品取扱量も2023年度の15,755tから2030年度に28,000tにまで増やす。

 環境と調和のとれた食料システムの確立では、みどりの食料システム戦略で掲げている内容について、2030年目標が設定された。温室効果ガス排出量削減目標については、別途近日中に発表される農林水産省地球温暖化対策計画で示される予定。

 農村の振興では、農村関係人口や農村での付加価値額で目標を設定した他、地域の共同活動の体制強化も図る。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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