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用語集

先住民族の権利

先住民族の権利とは

先住民族の権利とは、先住民族を取り巻く、様々な状況に対して先住民族が持っている権利のことを指します。基本的な人権に加え、先住民族の持つ土地の権利、言語や宗教など固有の文化を守る権利も含まれます。

先住民族とは

先住民族とは、国際連合(以下、国連)や国際労働機関(ILO)などにより、おおむね下記のように定義づけられています。

  • 近代以降の植民地政策や同化政策により、自らの社会や文化、土地などを奪われ、場合によっては否定され、苦しんできた人々
  • 自らの伝統的な土地や暮らしを引き継ぎ、社会の多数派とは異なる自分たちの社会や文化を次世代に伝えようとしている人々

(※アムネスティ・インターナショナルのHPより抜粋)

背景

国連広報センターによると、現在、地球上にいる先住民族の数は3億7,000万人を超え、5大陸の70カ国以上の国々に住んでいます。「先住民族は世界のもっとも不利な立場に置かれているグループの1つ」(国連広報センター)とされています。多くが植民地化により固有の文化、土地を奪われてきた歴史を持ち、政策決定プロセスから除外され、ぎりぎりの生活を強いられ、搾取され、社会に強制的に同化させられ、自分の権利を主張すると弾圧、拷問、殺害の対象となる場合もあります。そのため迫害を恐れ難民になったり、自分のアイデンティティを隠して言語や伝統を捨てなければなりませんでした。そして、その状況は今も世界各地で続いています。こうした状況を打破すべく、先住民族が結束を固め、世界中で先住民族の権利を主張するようになりました。

草の根活動による訴え

現在、多数のNGOや市民団体が、世界的な規模で先住民族の権利を訴えています。これらの団体は、先住民族による団体から人権団体まで様々ですが、共通して先住民族の持つ固有の豊かな文化、先祖代々守られてきた土地を守っていこう、と主張しています。

活動している団体 ※一部抜粋

  • International Indian Treaty Council
  • Indigenous World Association
  • the International Land Coalition
  • ECOTERRA Intl.
  • Indigenous Environmental Network
  • Earth Peoples
  • Global Forest Coalition
  • Amnesty International
  • Indigenous Peoples Council on Biocolonialism

国連における動き

国連では、1982年に先住民族の保護のための人権基準を開発するために国際連合先住民作業部会(Working Group on Indigenous Populations , WGIP)が立ち上げられました。1992年の地球サミットでは先住民族の集団が自分たちの土地、環境が悪化していることへの懸念を表明。これを受け、国連開発計画(UNDP)、ユニセフ、国際農業開発基金(IFAD)、ユネスコ、世界銀行、世界保健機関(WHO)など、国連の様々な機関が先住民族の健康や識字力の改善、土地や領土の悪化と闘うための事業計画を実施しました。

国連では、こうした先住民族をめぐる問題への関心の高まりを受け、2000年には経済社会理事会の補助機関として「先住民問題に関する常設フォーラム(Permanent Forum on Indigenous Issues)を設置。政府専門家8名と先住民専門家8名の計16人の専門家が、先住民族の問題の審議を深めました。

そして、国連総会では1995年~2004年の「世界の先住民の国際の10年(International Decade of the World’s Indigenous People)」に続き、2005~2015年を「第2次世界の先住民の国際の10年(Second International Decade of the World’s Indigenous People)」に制定。先住民族をめぐる様々な問題解決のための更なる国際的な協力を、世界各国に訴えました。

そして2007年、1982年から進められた準備が整い、国連総会で「先住民族の権利に関する宣言(Declaration on the rights of Indigenous Peoples)」が採択されました。全部で44条にわたる宣言では、広範囲にわたる先住民族の権利を規定しています。具体的には次のような権利を規定しています。一部、ご紹介します。

  • 自己決定権(政治的地位を自分たちで決め、経済、社会、文化的な発展のありかたや方法を自分たちで決めることができる)
  • 同化を強要されない権利
  • 土地や資源の返還や賠償などを求める権利
  • 自治を求める権利
  • 文化的・宗教的な慣習を実践する権利
  • 独自の言語で教育を行い、受ける権利
  • 伝統的につながりを持ってきた土地や資源を利用する権利 など

(※アムネスティ・インターナショナルのHPより)

なお、この「先住民族の権利に関する宣言」には法的拘束力はありません。しかし、宣言に賛成の意を表した国は、宣言を実現するために先住民族と協議しながら適切な措置をおこなうことを求められています。

2007年の歴史的な一歩を踏み出した後も、よりよい環境にすべく先住民族は積極的に活動を続け、2014年の国連総会では、先住民族世界会議がおこなわれました。

批判、課題

先住民族やNGOによる国連や各国政府への呼びかけにより、先住民族の権利は以前よりも守られています。とはいえ、失業率の高さ、貧困、同化政策により一度失われた伝統をいかに復活させるか、など世界の先住民族は多種多様な問題を抱えており、更なる課題解決への努力が求められています。

また「先住民族の権利に関する宣言」は賛成143票を獲得したものの、多くの先住民族をかかえるアメリカ合衆国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの4か国は自国の政策や憲法とかみあわない部分がある、などの理由から反対しました。これらの国との交渉が、これからの課題です。

先住民族は、多くが困難な歴史を歩んできましたが、誇りを持って生きられる社会の実現にむけ、1つ1つ課題を解決していきたいものです。

参考文献、参考URL

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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