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用語集

FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)

FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)は、責任ある森林の管理を定義づけ、それにもとづき世界中の森林および木材を認証している独立した非営利団体です。FSC認証は環境破壊や社会問題につながらない適切に管理された森林か伐採された木材であるという証明となるため、FSC認証を取得した製品を買うことが世界の森林保護につながります。

歴史

FSCは、1992年リオで開催された地球サミットの成果であるアジェンダ21で、森林減少の抑止にむけた合意を生み出さなかったことを受け、企業、環境保護活動家、コミュニティの酋長のグループなどが集まり設立されました。翌1993年にカナダ、トロントで第一回FSC総会が開催され、世界の森林管理のあり方を変えるアプローチとして、森林管理、認証のアプローチを策定しました。その後、活動規模が拡大し、現在では世界80か国まで活動が広がっています。日本では日本森林管理協議会が2010年8月に日本のナショナル・オフィスとして本部と契約、現在に至ります。

FSCの活動指針

FSCは「世界中の森林が、社会、生態系、経済の面で、私たちの権利とニーズを満たし、将来の世代へも欠くことなく受け継がれていくこと」というビジョンのもと、環境に適切な森林管理、社会的な便益をもたらす森林管理、経済的に継続可能な森林管理の指導、認証をおこなっています。FSCは森林を、人間が生きていくためになくてはならない存在で、地球温暖化対策の要と位置づけ「責任ある管理がされた森林からの製品への需要を創り出すことにより、未来の世代のために森を守る支援」を続けています。なお、日本では現在40万ヘクタール近くの森林がFSC認証を取得しています。

組織の特徴

FSCは、信頼性を確保するため、公平に権限を持つ社会・環境・経済の3つの分会の上に立った独立した会員主導の組織となっています。責任ある森林管理に貢献する個人、法人が会員になれますが、行政の影響から独立した立場を維持するため、政府機関及び公務員はなることができません。なお、メンバーは3年に一度開催されるFSC総会に出席することが推奨されており、この総会で、メンバーによる動議が発表、投票されます。

そうした総会の承認を経て作られているFSCの森林管理基準は、水質保護や希少な原生林での伐採の禁止、天然林被覆の消失の回避、危険性の高い薬品の禁止など広範囲に渡る基準となっています。また、地元のコミュニティの権利を重視しており、先住民の慣習法を保護することを森林管理者に要求しています。

FSC認証の仕組み

FSC認証には2つの形態があります。1つは、FM認証(Forest Management Certification)で、森林の管理・経営を対象として適用されます。日本のFM認証取得者は34団体あり、全国33都道府県にFSC認証林が存在しています。(詳しくはこちら。)もう1つはCoC認証(Chain of Custody Certification)で、FSC認証製品の製造業者、加工業者、貿易業者に適用され、最終的に消費者の手にわたるまで、サプライチェーン全体を通じ、FSC認証原料がきちんと識別され、他の非認証製品と分別されているかを確認する基準です。サプライチェーン内の企業は全て、FSC認証を取得しないと製品をFSC認証品としてラベリングや宣伝を行えません。

企業がFSC認証を取得したい場合は、問い合わせ、認証機関の決定、認証機関の監査、認証発行を経て、取得することができます。詳しくはこちら

世界および日本におけるFSC認証を受けた森林の最新状況(認証林の国ごとの面積、その森林のオーナーシップなど)については下記から知ることができます。また、データベースで認証取得者及び、非認証取得者の商標ライセンス契約者を検索できます。

FSCミックスラベル

2004年に、FSC認証材の少量かつ不安定な供給状況への対策として、管理された条件の下、非認証材をFSC認証材と混ぜて製造した製品でもFSCラベルをつけられるようにするため、FSCミックスラベルが新しく開発、運用されるようになりました。この際、非認証材に関して管理木材基準が新しく設けられ、下記のような木材は、FSCラベル付き製品に含めてはならない、とされています。

  • 違法に伐採された木材
  • 伝統的権利、人権を侵害して伐採された木材
  • 保護すべき価値の高い価値を有し、その価値が施業活動によって脅かされている森
    林で伐採された木材
  • 天然林の転換を目的とした伐採によって搬出された木材
  • 遺伝子組み換え樹が植えられたエリアから伐採された木材

(FSCジャパンのHPより抜粋)

批判、課題

国際的な環境団体グリーンピースは、産業界が全く手を付けていない「手つかずの森林(IFL)」を残す運動を進めており、世界の森林の管理を目指すFSCと意見の相違がありました。しかし、対話を続け「世界の森林の現状を把握しているFSCだからこそできることがある」という点で意見が一致、FSC総会でモーション65を採択しました。このモーション65では、FSCのIFLにおける役割や規定を決め、森林管理の基準を新たに開発するなどの2016年までの具体的な計画を述べています。

その他にも、FSCの森林認証の基準について、森に暮らす先住民族の権利との兼ね合いや、大規模な伐採、植林に対する規制を厳しくすべき、といった批判がNGOなどから出されています。FSCミックスラベルについては、まだ認知度が低く、FSC認証100%のものとの違いが消費者に理解されていない、非認証材とはどんな木材なのかが伝わっていない、といった課題もあります。

FSCのこれから

批判、課題はあるものの、持続可能な森林経営のパイオニアとして世界的に認められているFSCは、環境に優しい商品選びおよび森林経営には欠かせないものです。FSCは、今後も批判、課題に対応しながら、規模を拡大していくことでしょう。

参考文献、参考URL

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