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用語集

マスバランス方式

マスバランス方式とは

 マスバランス方式とは、持続可能性に関する特定の特性を持つ原料(バイオマス由来原料、リサイクル由来原料等)と、従来の原料(化石燃料由来原料等)を製造工程で混合し、投入した特定の原料の特性を、完成した製品の一部に帳簿上で割り当てる管理手法のこと。

 例えば、バイオマス原料20tと石油由来原料80tを混合し、100tのプラスチックを生産した場合、物理的にはすべてのプラスチックがバイオマス原料を20%含むが、マスバランス方式では完成した製品のうち20tを「バイオマス由来100%」、残りの80tを「石油由来100%」として、帳簿上で区別して扱うことが可能。バイオマス由来100%とみなされた製品20tを、製品Aとして10t、製品Bとして10tと分割するなど、柔軟に割り当てることも可能である。

 製品個々の物理的な含有率ではなく、サプライチェーン全体でのインプットとアウトプットの収支(バランス)を合わせることからマスバランスと名付けられた。

サプライチェーン管理手法としての位置付け

 マスバランス方式は、CoC(Chain of Custody)と呼ばれる原料の調達から加工、流通、最終製品に至るまでの全工程を管理・追跡するためのモデルの1つとして位置付けられている。

 CoCの目的は、「サステナブル」であると主張する製品が実際に認証された供給源からの原料に由来することを保証し、サプライチェーンの途中で非認証原料の混入や認証原料の水増しを防ぐことにある。

 CoCのモデルには、マスバランス方式のほか、単一農園等の特定の認証済み供給源のみから調達した原料を他の原料と一切混合せず最終製品を製造する「アイデンティティ・プリザーブド(IP)方式」、認証済み原料と非認証原料をサプライチェーン全工程で物理的に分離して管理する「セグリゲーション方式」、持続可能な原料を生産した生産者が発行した証明書を購入し、自社製品が持続可能な生産を支援していると主張する「ブック&クレーム方式」等がある。

マスバランス方式のメリット

 マスバランス方式は他のCoCモデルと比較した場合のメリットとして、まず、経済合理性が高い。既存設備をそのまま活用できるため、新たな専用ラインや貯蔵タンクへの大規模投資を必要とせずコストを削減できる。

 次に、供給安定性。持続可能な代替原料は、供給が不安定であったり、高価であったりすることが多い。従来原料と混合することで、サプライチェーンの断絶リスクを低減し、製品の安定供給を維持できる。

 また、第三者認証を取得し認証商品として市場に投入することで、サステナビリティへの取り組みを市場や消費者に訴求するためのブランド価値を高めることが可能となる。

マスバランス方式の課題

 マスバランス方式を導入する上での大きな課題の1つが、グリーンウォッシングとの批判を招くリスクだ。

 消費者や取引先が「バイオマス由来100%」の表示を見て、製品そのものが物理的に100%バイオマス原料で製造されている、と誤解する可能性があり、表示と物理的な実態の乖離が批判対象となりやすい。

 EUでは、誤解を招く表現を規制するため「グリーンクレーム指令案」等の法整備を進めている。同指令案では、企業に対し、環境訴求を消費者に伝える前に、訴求内容を独立機関が検証し、科学的証拠を用いて証明することを義務化しており、企業は透明性の高い情報開示が一層求められている。

第三者保証機関

 グリーンウォッシングリスクを回避する上でも、第三者保証機関による認証制度の取得は重要となる。

 第三者認証制度の代表的なものとして、化学・プラスチック業界向けのISCC(International Sustainability and Carbon Certification) PLUS認証、パーム油製品を扱う企業向けのRSPO(持続可能なパーム油に関する円卓会議)認証、紙・パルプ、森林由来の木材・非木材製品等を扱う企業向けのFSC(森林管理協議会)認証等がある。

【参照ページ】マスバランス方式

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