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用語集

エクエーター原則・赤道原則

 エクエーター原則(Equator Principles)とは、インフラ建設プロジェクトなど大規模プロジェクトへの融資の際に、環境・社会リスクを評価管理する金融業界の自主的ガイドラインです。「赤道原則」とも呼ばれています。ガイドラインの管理・改訂は、エクエーター原則とともに設立された事務局組織「エクエーター原則協会」が担っています。

背景

 本原則が制定された背景には、石油・ガス開発やダム建設、工場建設などの大規模開発や大規模建設プロジェクトにおいて、自然環境や現地の地域社会に対する影響が起きていた状況があります。新興国でのダム建設によって住民が立ち退きを余儀なくされ、彼らの生活を破壊するとして国内外から非難される例もありました。

 そこで、世界銀行などの多国籍金融機関やOECD加盟国の政府系輸出信用機関などは、環境や社会へリスクを管理するための自主ガイドラインを整備。1990年代後半には、ガイドラインの運用も開始されていました。一方、ガイドラインの整備が進まない民間銀行に対しては、NGOなどから管理体制の強化を求める声が上がっていまいた。

 そうした中、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)とオランダ銀行大手ABNアムロは2002年10月、世界主要銀行を英ロンドン近郊のグリニッジに集め、民間銀行の環境・社会リスク管理の共通ガイドライン策定を呼びかけました。その結果、ABNアムロ、米シティバンク、英バークレイズ、ドイツのウェストエルビーの4行が共通ガイドライン作成を担当し、原案は国際環境NGOのバンクトラックなどからも意見を募りました。当初案では「グリニッジ原則」と名付けられていましたが、NGOからグリニッジという用語が英国系を強く印象させるとの指摘を受け、「エクエーター原則」に改名されました。そして、2003年6月にIFCと連携し「エクエーター原則」を正式に披露。その場で、欧米主要銀行10行によって採択されました。

 その後エクエーター原則は、2006年と2012年に2回改訂を行い、最新版は「第三次改訂版(EPⅢ)」です。

採択金融機関

 エクエーター原則を採択している金融機関は英語で「EPFI(Equator Principles Financial Institutions)」と呼ばれています。EPFIは、2017年5月現在、37カ国90の金融機関があります。日本の金融機関は、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、農林中央金庫の5行。

エクエーター原則・赤道原則 1

内容

 エクエーター原則は、全部で10の原則で構成されています。EPFIは、大規模プロジェクト融資に際し、この10原則全てを満たすことが要求されます。ここで定義される大規模プロジェクトとは、

(1)プロジェクト総額が1,000万米ドル以上のプロジェクトファイナンスアドバイザリーサービス(FA業務)
(2)プロジェクト総額が1,000万米ドル以上プロジェクトファイナンス
(3)総借入額1億米ドル以上で、当該銀行のコミット額が5,000万米ドル以上で、貸出期間2年以上で、貸出先が実質的支配権を持つ単一プロジェクト向けのプロジェクト紐付きコーポレートローン(PRCL)
(4)貸出期間2年未満で(2)または(3)でリファイナンスされることを意図したブリッジローン

10原則

  • 原則1:レビュー、およびカテゴリー付与
  • 原則2:環境・社会アセスメント
  • 原則3:適用される環境・社会基準
  • 原則4:環境・社会マネジメントシステムと、エクエーター原則アクションプラン
  • 原則5:ステークホルダー・エンゲージメント
  • 原則6:苦情処理メカニズム
  • 原則7:独立した環境・社会コンサルタントによるレビュー
  • 原則8:誓約条項(コベナンツ)
  • 原則9:独立した環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告の検証
  • 原則10:情報開示と透明性

 原則適用の最初のステップは、プロジェクトに対する融資を打診された際に、国際金融公社(IFC)の環境・社会カテゴリー付与のプロセスに基づき、プロジェクトをA、B、Cの3つにカテゴリーに分類することです。社会・環境へのリスクが大きくなる可能性があるAまたはBを付与された場合、採択金融機関は融資予定先企業に対して、エクエーター原則が定めるアセスメントを実施します。続いて、融資予定先企業に対し、環境・社会マネジメントシステム(ESMS)を構築・運用、ステークホルダー・エンゲージメントの実施の要求が義務化されています。必要に応じて、融資予定先企業に対して、ステークホルダーからの苦情処理のためのメカニズムの構築を要求することも課せられています。これら融資予定先企業への要求は、全て融資契約書の中に盛り込むことも規定されています。

 上記のデューデリジェンスについては、独立した外部の環境・社会コンサルタントによるアセスメント文書の作成も義務化されています。さらに必要に応じて、独立した外部の環境・社会コンサルタントが、融資先企業からEPFIに提供されるモニタリング情報を検証することも定めています。最後に情報開示規定として、融資先企業はEPFIに対して環境・社会インパクト評価に関する要約と温室効果ガス排出量を開示しなければなりません。さらにEPFIは、少なくとも年に1回、融資を実施した案件およびエクエーター原則の実施プロセスや実績について公表しなければなりません。

 各EPFIからの情報開示は、エクエーター原則協会のHP上で閲覧することができます。

参考サイト

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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