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用語集

グリーンビルディング

 グリーンビルディングとは、エネルギーや水、空調設備などにより環境性能の高い建物を指します。日本語では「環境配慮型建物」「環境に優しい建物」などとも訳されます。また英語では「サステナブル・ビルディング」や「ハイパフォーマンス・ビルディング」「グリーン・アーキテクチャー」などとも言われます。

背景

 世界グリーンビルディング協会の調査によると、建物からの二酸化炭素排出量は総排出量の30%を占め、世界の飲料水の14%を消費しています。そこで、低炭素社会を実現する二酸化炭素排出量や水使用量の少ないグリーンビルディングが注目されています。

 最近では、グリーンビルディングには、環境性能だけでなく、建材の持続可能性や人体の健康やウェルビーイングへの配慮も同時に追求する動きが出てきています。

グリーンビルディングの利点

 グリーンビルディング認証制度「LEED」を運営する米NGOのUSGBC(米国グリーンビルディング協会)の調査によると、LEED認証を取得したグリーンビルディングは、二酸化炭素排出量が34%、エネルギー使用量が25%、そして水使用量が平均11%の少ないと報告しています。経済効果にすると、2015年から2018年の間に、エネルギー12億米ドル、水1.5億米ドル、メンテナンス費用7,000万米ドル、廃棄物処理費用5,000万米ドルの節約が見込まれています。

 また、USGBCによると、グリーンビルディングの不動産評価価値は平均で4%高く、また、エネルギー費用やメンテナンス費用を節約できることから投資回収は早くいため、一般的には投資回収期間は7年と言われています。また、平均でROIは、改修物件で19.2%、新築物件で9.9%改善したとの調査結果もあります。

グリーンビルディング市場について

 世界のグリーンビルディング市場は、2013年に2,600米億ドルに成長。その約20%が米国における新築商業用ビルだと推計されています。また今後2023年までに商業用ビルの所有者や管理者が既存建物の環境負荷低減に向け9,600億ドルの投資をするが見込まれています。主な改修内容は、省エネ暖房システム、換気、空調、窓、照明、配管設備等です。

 McGraw-Hill Constructionによる調査では、2013年から2015年の間に商業用グリーンビルディング建設計画を立てていた建設会社は全体の63%。また、同期間のグリーンビルディング型公共施設の建設計画では45%、グリーンビルディング型リノベーションプロジェクト建設計画では50%に達していました。

 グリーンビルディングの雇用創出効果は、米国で2018年までに雇用110万人と756億米ドルの賃金創出に貢献。グリーンビルディング市場は、2015年から2018年の間にGDP押し上げ効果が3,035億ドルあると言われています。

グリーンビルディング認証

 グリーンビルディング認証は、各地域で誕生しています。

  • 米国:LEED
  • 日本:CASBEE(建築環境総合性能評価システム)
  • 中国:GBAS(緑色評価評文体系)
  • フランス:HQE
  • 英国:BREEAM
  • オーストラリア:Nabers
  • シンガポール:Green Mark

 とりわけ米国発のLEEDは世界的に注目されています。日本でも一般社団法人グリーンビルディングジャパン(GBJ)が2013年に設立され、認証取得件数が増加しています。

国際的なグリーンビルディングへの取組

 国際組織でもグリーンビルディングの推進が広がっています。2016年12月の気候変動枠組条約パリ会議(COP21)でも、フランスと国連環境計画(UNEP)の共同でGABC(The Global Alliance for Buildings and Construction) が開催され、23カ国のNGO64団体が参加しました。

日本におけるグリーンビルディング

 日本にはグリーンビルディング認証システムとして、一般社団法人日本サステナブル建築協会(JSBC)が運営しているCASBEE(建築環境総合性能評価システム)があります。建物や都市に関わる環境性能を総合的に評価するもので、国内の建築事業者や設計事務所、建物の所有者、不動産投資会社などに利用されています。

 さらに、2016年9月時点では、24自治体が同認証システムを自治体への届出制度として活用。名古屋市や福岡市、柏市、神奈川県などが導入しています。2017年4月時点でCASBEE認証取得物件数は602件、自治体への届出物件数は2016年3月時点で18,552件です。

 加えて、前述の通り日本においてもLEED認証が実施されています。日本では現在、74件が認証され、71件が認証申請の登録を完了しています。

 現在、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、グリーンビルディング分野でいかにリーターシップを発揮するか議論されています。一般社団法人グリーンビルディングジャパンは、2014年6月にグリーンビルディングに関するシンポジウム「GBJシンポジウム2014」を開催。2008年の北京オリンピック・パラリンピックから注目度が上がっているグリーンビルディングを、東京オリンピック・パラリンピックでも推進しようと活動しています。

今後の課題

 2015年時点での、世界全体の建物総床面積は2,234億m2。今後、2030年には3,154億m2、2050年には4,152m2にまで増加すると予測されています。そのため、建物からの環境負荷の軽減は世界全体の至急課題となっています。各国や地方政府、NGOにとっての次の課題は、より詳細なロードマップ作成です。それにより、不動産業界からの二酸化炭素排出量を削減し、各国がパリ協定に向け自主的に決定した約束(NDCs)として掲げた国別目標の達成に近づけることができます。

 また、グリーンビルディング認証の取得は、大型ビルの方が進んでいるという調査結果があります。米国では、大型ビルの62.1%がグリーンビルディング認証を取得しているのに対し、小型ビルは4.5%。小型ビルでの普及が期待されています。

参考サイト

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