Sustainable Japan QUICK ESG研究所

サプライチェーン・マネジメント(SCM) 2016/12/27 辞書

サプライチェーン・マネジメントとは

 サプライチェーン・マネジメントとは、材料や部品の調達から製造、出荷、流通、販売などの「モノの流れ」を指すサプライチェーン(供給連鎖)を効率化・最適化するための経営手法のことです。1983年にコンサルティング会社のブーズ・アレン・ハミルトンが初めてこの言葉を使用しました。

背景

 サプライチェーン・マネジメントが注目され始めた背景には、自社内で完結していた「モノの流れ」が外部からの材料・部品の調達が進むことで複雑化し、製品の高度化により部品や材料の加工工程もまた複雑していったことがあります。サプライチェーンに関わる複数の企業や業界全体で総合的な見直しをすることで、コストの最小化、リードタイムの削減、在庫の最適化、売上の最大化、経営基盤の強化の5つを向上させることを狙っています。

 サプライチェーン・マネジメントが注目される以前から、すでに米国ではアパレル業界や加工食品業界で、また日本でもトヨタ自動車などが、戦略的なサプライチェーンの管理がなされていました。例えば、米国アパレル業界のQR(Quick Response)では、製造業者と流通業者の連携を強化してサプライチェーン全体の情報共有することによって、市場の変化に素早く対応できる体制づくりが進められました。またトヨタ自動車の生産方式の一つであるJIT(Just-in-Time)は、製造業において部品調達や製造過程で「必要なものを、必要なときに、必要な数量だけ」調達、生産する考え方です。これらは、サプライチェーン・マネジメントの源流であると言われています。

サプライチェーン・マネジメントの実践

 具体的なSCM実践の方法のとして、主に業務プロセスの標準化とITシステムの利用があります。世界に分散した拠点を有する企業であっても、各拠点で別個のシステムを採用していると設計の進捗状況や資材の調達状況、製造の進捗状況などの情報が社内に散在していることになり、時間と労力が余計に必要となってしまいます。そこで、クラウドサービスなどを導入することで散在する情報を統合することができ、見積もり、受注、設計、製造、出荷の一連の流れが見える化されます。その結果として業務が円滑になりスピードアップし、事業全体の生産性が向上します。これは一つの国内企業にとどまらず、複数の企業間の、また国境を越えたサプライチェーンにおいても同様です。

 さらに、サプライチェーン・マネジメントにおけるビックデータの利用も進められています。ATカーニーの調査によると、現在ではビックデータ分析で受注や製造、出荷の最適化を測ったり、出荷回数を減らすことでリードタイムを短縮したり、SCMにおけるリスクを低減させたりすることが期待されています。

最近の動向

 サプライチェーンの世界の状況をまとめた報告書として「State of Sustainable Supply Chain」が国連グローバル・コンパクト(UNGC)とコンサルティング世界大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の共同で発表されました。本報告書では、世界の大手企業のサプライチェーン、調達、サステナビリティー担当者へのインタビューをもとに取り組みの現状やモデルケース、アドバイスがまとめられています。

 また最近では、さらに環境へ配慮したサプライチェーン・マネジメントを実現するものとして「グリーン・サプライチェーン・マネジメント」という概念が出てきました。これは無駄な製造過程や輸送頻度の削減によって二酸化炭素排出量を削減させるというもので、環境と効率化の双方を追求する概念です。グリーン・サプライチェーン・マネジメントでは、商品の輸送工程にも着目しており、生産者だけでなく、輸送者、さらには消費者をも巻き込んだものになってきてきています。さらに、この発展型として「リバース・サプライ・チェーン」という言葉も誕生しました。リバース・サプライ・チェーンは、製品を回収し再利用していくモノの流れを言い、廃棄物を削減していく取組を指します。製品の回収・再利用にはコストがかかる一方、欧米では廃棄物削減が政策課題としても位置づけられ始めており、企業の活動が開始しています。このリバース・サプライ・チェーンの過程でかかるコストを削減していくため、「分解しやすい部品」「化学分解しやすい素材」「製品を回収する仕組みづくり」を製品開発の過程で考慮する動きも生まれてきています。

 またサプライチェーン・マネジメントは、「グリーン・サプライチェーン・マネジメント」など環境的側面を超える発展も見せています。今日、環境と同時に社会的な側面、例えば労働者の人権や、地域コミュニティの発展なども同時に追求する「CSR調達」「サステナビリティ調達」「責任調達」という考え方がグローバル企業を中心に普及してきています。

参考文献

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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