エシカル消費とは、買うことで環境や社会問題の解決に貢献できる商品を買い、そうでない商品を買わない消費活動のことです。エシカル消費をおこなう消費者のことは「エシカルコンシューマー」(Ethical Consumer)と呼ばれ、日本でもカタカナで通っています。
歴史
エシカル消費は、英国から始まったと言われています。英国では1989年に『エシカルコンシューマー』という専門誌が創刊され、現在は充実したウェブサイトも展開し、積極的にエシカル消費を広めています。また、1998年にはエシカル・トレード・イニチアチブというエシカルビジネスの協会も発足しています。米国でもエシカル消費は見逃せない動きとなっており、消費者行動の研究家ジョン・ガーズマ氏とジャーナリストのマイケル・ダントニオ氏が取材し、2011年に刊行された『スペンド・シフト』という本には、米国各地の様々なエシカル企業、エシカル消費の事例が紹介されています。
日本での動き
日本でもエシカル消費への関心は高まっており、株式会社デルフィスの「エシカル実態調査」によると、「エシカル」というキーワードのGoogle検索数は年々増加しており、2010年9月に4.6万件だったものが2014年6月には42万件と過去最高値を記録。特に20代、60代男女の関心が高いという調査結果が出ています。2014年5月30日には「日本エシカル消費推進協議会」が誕生、2015年4月には政府の消費者庁で倫理的消費調査委員会というエシカル消費の研究会が設置されました。
批判、課題
世界的な課題はコナーウッドマン著の『フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』で指摘されている、「エシカル」の明確な定義がされないまま、実態をともなわない宣伝・集客文句として使われている場合が多くある点です。ただ、消費者側から対策も出されています。英国では「エシカルコンシューマー」誌で独自にエシスコアーというエシカル度を測る基準を作成し、過去5万件に及ぶ企業・商品・サービスが検証されています。このような基準が消費者に更に広まれば、問題の解決につながるでしょう。
日本ではこのような消費者向けのエシカル商品・サービスの基準は未発達です。野村尚克、中島佳織、デルフィス・エシカル・プロジェクト著『ソーシャル・プロダクト・マーケティング』には「まだ基準やサポートがほとんどないのが現状で、フェアトレード認証以外に明確な定義や基準はなく、普通の企業では名乗りにくい概念となっていると言えます」とあります。また、市民側の問題意識がそこまで高くないため、エシカル消費が盛り上がっていかない側面もある、と指摘しています。
「エシカル消費」のこれから
「エシカルコンシューマー」という言葉が生まれた約25年前に比べれば、「エシカル消費」「エシカル消費者」は飛躍的に広まりました。ただ、エシカルな商品が世の中に増えた結果、その商品が本当に環境、社会に良い商品か、消費者側がしっかり判断することが必要となっています。英国などではしっかりとした基準を設けているので、日本や諸外国でもこの動きに続き、消費者側が協力してエシカル商品の基準を作り、真の「エシカル消費」を続けることが、今後の更なる「エシカル消費」の発展につながるでしょう。
参考文献、参考URL
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