女性管理職比率 2015/11/01 辞書

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女性管理職比率とは、企業や団体における管理職全体に対する女性の割合を指します。政府は1999年に施行された男女共同参画社会基本法に基づき、第3次男女共同参画基本計画(2010年12月閣議決定)において、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度とする目標の達成に向け、様々な積極的改善措置(ポジティブ・アクション)を進めることを決定しました。

第2次安倍政権の下で、2015年8月に、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」いわゆる「女性活躍推進法」が成立しました。女性の活躍促進に向けて、「2020年30%」の目標が実現するよう経済界に要請し、政府としても企業の取り組みを後押ししていくという方針が実現することになったのです。法律が施行される平成28年4月1日から、労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが新たに義務づけられることとなっています。

女性管理職比率の現状

2013年の女性雇用者数は2,406万人で、雇用者総数5,553万人に占める女性の比率は43.3%でした。雇用者数には男女共にさまざまな働き方をする人びとが含まれていますので、この数値を見て女性管理職との関連性を検討することはできません。しかし、女性の就業率の高さは明らかで、多くの女性が労働市場で活躍していることの証左と言えるでしょう。

2013年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によりますと、企業規模100人以上の職場における、全体の管理職に占める女性の割合は、1)部長級5.1% 2)課長級以上7.5% 3)課長級8.5% 4)係長級15.4% となっています。上位の管理職ほど低い比率です。

これを企業規模1,000人以上の職場に限定してみますと、1)部長級 3.2% 2)課長級以上 5.2% 3)課長級 6.0% 4)係長級 12.6%と、大企業の方がさらに低くなっています。大企業では、管理職に就いている女性の数が、企業規模100人以上の職場の平均より、かなり少ないのです。

女性管理職が少ない理由

2012年に行われた労働政策研究・研修機構(JILPT)による調査【複数回答】によりますと、女性役職者が男性役職者より少ない、あるいは全くいない役職区分が一つでもある、従業員が300人以上いる企業では、以下のような理由を挙げています。

a) 採用の時点で女性が少ない。⇒52.2%
b) 現時点では、必要な知識や経験、判断力などを有する女性がいない。⇒45.6%
c) 可能性のある女性はいるが、在職年数などを満たしていない。⇒33.3%
d) 女性のほとんどが役職になるまでに退職する。⇒25.6%
e) 能力などの条件を満たしても、女性本人が希望しない。⇒19.6%

女性管理職の家庭状況

JILPTの先述の調査により、女性管理職の家庭状況も明らかになりました。婚姻状況に関しては、300人以上の企業規模では未婚者が41.5%、既婚者が46.5%、離死別者が12.0%となっています。さらに既婚者の子どもの有無を調べたところ、62.7%が子どもがいないという状況です。

プライベートな状況と管理職との関連性を断定することはできませんが、現在、管理職に就いている女性たちは、仕事と結婚・育児との両立が困難である状況に直面してきたことが推測されます。

女性管理職比率の国際比較

諸外国と比較した場合の日本の位置づけを示しているのが下の図表で、日本の比率は極めて低いことが改めて確認できます。

しかし注意点があります。第1に、「管理職」の捉え方が国によって異なる可能性があること、第2に(注)にもありますが、国際標準分類によると、「a」の分類方法を採用している国、例えばフィリピンでは、農業、漁業、林業などが含まれていますが、日本、米国、ヨーロッパなどでは含まれていないことです。

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出典:社会実情データ(注・資料を含む)

女性重役

国際労働機関(ILO)によりますと、2013年に女性の重役が20%以上を占めていた国は、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、英国の4カ国だけでした。10~20%を占めていた国としては、オーストラリア、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イスラエル、オランダ、ポーランド、南アフリカ、トルコ、スイス、米国が挙げられています。一方、5%未満は、日本、インド、チリ、ポルトガル、ロシア、サウジアラビア、韓国、台湾等が該当していました。

ILOは、調査に回答した企業の30%には女性の重役がまったくいなかったことを明らかにし、、「女性の声を反映させるには30%が不可欠である」という見解を示しています。
 

女性によるリーダーシップへの障壁

女性によるリーダーシップはグローバルなレベルで見ても十分に発揮されていません。ILOは障壁になっている事項を以下のように指摘しています。

a) 女性の方が男性より家庭内の責任が重い。
b) 男性と女性の社会的な役割の違い。
c) 企業における男性優位の文化。
d) 女性間における管理経験の不十分さ。
e) 女性が目指そうとするロール・モデルの少なさ。

女性活躍推進法

先述のように、日本においては官邸の主導により「2020年30%」の目標達成に向けた取り組みが展開されています。厚生労働省の「女性活躍推進法特集ページ」には具体的な内容について、「女性活躍推進法に基づき、国・地方公共団体、301人以上の大企業は、(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表、(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。また、行動計画の届出を行い、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます」と記載されています。

しかしILOによる調査でも明らかになったように、国内だけでなく国際的にも女性に対する固定観念や偏見が根強く残っているのが現状です。女性の活躍を推進するには、規制を強化するだけでなく、社会文化的な側面からの改革も求められます。

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