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用語集

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)

IPCCとは

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)は日本語では気候変動に関する政府間パネルと訳します。地球温暖化に関する科学的研究の収集および整理を目的として設立された国際的な専門家が多数参加している政府間機構です。名称は「政府間パネル」ですが、政府関係者だけでなく各関連分野の科学者など専門家も参加しており、IPCCから数年おきに発行される「評価報告書」(Assessment Report)は地球温暖化に関する世界中の数千人の専門家の科学的知見を集約した報告書として国際政治および各国政策に多大な影響力を持っています。

IPCCは学術研究機関ですが、自身で調査を行うことはなく、公に発表された論文などをもとにして気候変動の現状と今後のリスク、適応策などを評価報告書として発表しています。この報告書は執筆や評価などの分野で数千人規模の科学者の協力を得ており、全てボランティアで行われています。報告書は最終的に120か国以上の政府の評価を受けています。また、IPCCは各国への政策提言等は行っていませんが、国際的な地球温暖化問題への対応策を科学的に裏付ける論拠を提供する組織として影響力を発揮しています。

IPCCは21世紀の気候変動対策における科学的な論拠を提供する重要な役割を担っており、2007年にノーベル平和賞を受賞しています。

IPCCの目的、組織の詳細

IPCCは、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画 (UNEP)により設立されました。目的は「人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うこと」(気象庁ウェブサイトより)にあります。

組織は、議長、副議長の属するIPCC総会と、三つの作業部会及び温室効果ガス目録に関するタスクフォースにより構成されています。それぞれ、以下のような任務を担っています。

  • 第1作業部会:気候システム及び気候変化の自然科学的根拠についての評価
  • 第2作業部会:気候変化に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変化がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変化への適応のオプションについての評価
  • 第3作業部会:温室効果ガスの排出削減など気候変化の緩和のオプションについての評価
  • 温室効果ガス目録に関するタスクフォース:温室効果ガスの国別排出目録作成手法の策定、普及および改定

気象庁ウェブサイトより抜粋)

評価報告書

評価報告書は、上記の第1、第2、第3作業部会ごとの報告書と3つの報告書を統合した統合報告書(Synthesis Report)の4つの報告書から構成されています。3つの作業部会の報告書は、それぞれ「政策決定者向け要約(SPM)(Summary for Policy-Makers)」と、より専門的で詳細な情報が記載されている「技術要約(Technical Summary)」が作成されています。

評価報告書の作業計画と執筆者、査読者は、IPCC総会で決められます。報告書の各章には通常先進国から1人、途上国から1人の計2人の総括代表執筆者(Coordinating Lead Authors(CLAs))が選ばれ、総括代表執筆者が執筆方針を決め、全体を統括します。CLAのもとで代表執筆者(Lead Authors(Las))が各章を執筆します。さらに、Contributing Authorsと呼ばれる執筆者が、CLAやLA依頼により、原稿執筆(テキストや図表などの作成)を手伝います。報告書案は、専門家の査読者と政府によって査読が行われ、その後、査読編集者(Review Editors)が、査読コメントが十分に考慮されているかを確認します。最終案は、IPCCのホームページに公開し、専門家のコメントも求めます。

これまで発表された報告書は下記のとおりです。

  • 第1次報告書(1990年)First Assessment Report 1990 (FAR)
  • 第2次報告書(1995年)Second Assessment Report: Climate Change 1995 (SAR)
  • 第3次報告書(2001年)Third Assessment Report: Climate Change 2001 (TAR)
  • 第4次報告書(2007年)Forth Assessment Report: Climate Change 2007 (AR4)
  • 第5次報告書(2013年)Fifth Assessment Report: Climate Change 2013 (AR5)

JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センターのウェブサイトより抜粋)

IPCCによると、第5次報告書においては、80か国以上から830人以上の執筆者および査読編集者が選出され、彼らの指導のもと、1000人以上が執筆を手伝い、2000人以上の専門家が内容に関して14万以上のコメントを寄せました。また、第4次報告書においては、130か国以上から3500人以上の専門家が報告書作成に貢献しました。

批判、課題

IPCCでは、数千人の専門家の見解を検討し、その時点で最も確かだと思われる結論を記しています。そのため、参加した専門家それぞれの個人の見解の相違やばらつきがあることがあり、報告書にも断りがあります。このような合意(コンセンサス)形成方法に反発する人や、異論のある人物を集めて合意が形成されていないと主張している人もいます。

今後

批判はあるものの、地球温暖化に関する世界中の論文を網羅し、あらゆる専門家から内容を検討されたうえで発表されるIPCCの報告書は、地球温暖化の影響が益々心配される今後、さらに重要性を増し、国際的な政策決定にもより大きな影響力を持つようになるでしょう。

参考文献、参考URL

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