グリーンコンシューマー(Green Consumer)とは、広義には環境に配慮した行動をする消費者を指します。彼らの行動の中には、必要なもの以外を買わない「不買・買い控え」、長く使える商品を優先して購入することや環境対策に積極的な販売店・メーカーを選ぶことなどが含まれています。
この言葉が初めて用いられたのは、英国のジョン・エルキントンとジュリア・ヘインズの共著『The Greenconsumer Guide(1988)』だと言われています。この本は、主に英国内で購入・消費される商品の製造から廃棄までの過程を紹介し、環境対策を行っているスーパーマーケットの取り組みを5段階で評価しました。この本が出版された1988年は、トロント会議(気候変動に関する国際会議)で初めて先進国のCO2排出量削減の数値目標が設定された年で、世界的に環境問題に対する関心が高まっており、この本はイギリス国内外で大きな反響を呼び、初版だけで30万部を売り上げました。翌年(1989年)には続編が出版され、社会にグリーンコンシューマーを広く知らせるきっかけになりました。
一方、日本におけるグリーンコンシューマーの認知は、1994年にグリーンコンシューマー・ネットワークが発売した『地球にやさしい買い物ガイド』によって進められたといわれています。この本では「グリーンコンシューマーの10原則」が掲げられ、グリーンコンシューマーになるための具体的な方法が説かれています。地域レベルでは、1991年にNPO法人環境市民によって京都市内のスーパーで環境対策調査が行われました。彼らはその調査結果を日本初の地域版グリーンコンシューマーガイドとしてまとめ、現在までに多くの環境教育教材を出版しています。現在では、これまでの小売・流通業界だけが対象の調査ではなく、製造段階にあるメーカーにまでその評価の対象が広がっています。
一般的に、中高年層よりも若年層の方が環境を配慮する傾向にあり、グリーンコンシューマーになりやすい傾向があります。とりわけ、子供を持つ30代の母親世代には子供の健康や発育を意識した製品選びを行うと言われています。また、20代の大学卒など高学歴層も環境への関心が高いとも言われています。このような環境や社会に関心を持つことも「ミレニアム世代」のひとつの特徴と指摘されています。
今後の日本の課題としては、販売側からの情報提供が挙げられます。最近では多くの企業が環境報告書などを通じて、社会に製品などに関する環境情報を積極的に公表しています。しかし、それらの情報に目を通す人々は決して多くはないのが現実であり、そのため、企業にはこれまで以上に分かりやすい形での情報提供が求められています。その情報提供を実現するための方法の1つが、「販売員からの環境情報の提供」です。商品を選ぶ際、販売員から直接説明を受けることで、消費者はより効果的にエコな選択を進めることが出来ます。このような販売員を増やすために、NPO法人環境市民では、研修・試験によって研修内容を習得した販売員が環境マイスターの資格を取得できる「環境マイスター」研修制度を設けています。現在では、愛媛県庁や水俣市などの自治体では販売員に受講が推奨されており、その他の自治体では山形県と和歌山県で既に年間131人の環境マイスターが誕生しました(2005年度)。
参考文献
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