EICCとは、Electronic Industry Citizenship Coalitionの略称で、電子業界のサステイナビリティー向上に向けて取り組んでいる業界団体の名称、また、その団体が定めた電子業界行動規範を指します。
同団体は、2004年にHPやIBM、DELLなどの電子機器の企業によって設立されました。その目的は、電子業界のサプライチェーンにおける社会的・環境・倫理的課題に対し、業界全体で規範を作成すること。設立当初は会員企業からボランティアで活動していましたが、現在では正規の専門スタッフが働いています。
2016年10月時点で100社以上の電子・小売・自動車・玩具メーカーが会員となっています。例として、米国アップルやマイクロソフト、ソニーなどがあります。
規範としてのEICCでは、「労働」「倫理」「環境」「安全衛生」の観点から、電子機器業界のサプライチェーンにおける基準を規定しています。これは5つのセクションにより構成されており、セクションA、B、C 、Eではそれぞれ労働、安全衛生、環境、ビジネス倫理に関する基準。そしてセクションEでは、当規範の遵守についての管理体制について説明しています。最新版は、2015年4月から施行されていたものに変わって、2016年1月に「EICC version5.1」として出されています。
電子機器業界でこのような流れが高まったきっかけは、中国のフォックスコンのシンセン龍華工場の相次ぐ自殺でした。フォックスコンは日本にも取引先を有しており、国内のサプライチェーンへの注目度が上がっています。
サプライチェーンでのCSR基準や国際規格としては、他にSA8000や中国国立繊維・衣料品協議会が定めたCSC9000T、電子情報技術産業協会(JEITA)が定めたサプライチェーンCSRガイドブック、日本自動車部品工業会(JAPIA)のCSRがいとブックなどがあります。
また、EICCが目標とする強制労働や劣悪な労働環境を撲滅する法律の例として、2016年から施行開始された英国の現代奴隷法(Modern Slavery Act)やその母体となった米国カリフォルニア州のサプライチェーン透明法(California Transparency in Supply Chains Act 2010)などが挙げられます。
参考資料
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