PUEとは、データセンター等IT関連施設におけるエネルギー効率を測定する指標の一つです。2007年に発足した、ITとデータセンターの資源効率化に取り組む米国発の国際団体グリーン・グリッド(The Green Grid)が推奨しています。
背景
PUEが生まれた背景には、データセンターのエネルギー消費量増加への懸念があります。ITを活用することで、スマートシティやスマートファクトリー、在庫管理やオンラインショッピング等、人やモノの流れの効率化と高速化、そしてエネルギー消費全体が最適化され、二酸化炭素排出量削減への期待が集まる一方、IT機器がデータセンターに集まりエネルギー消費量が増加すると、その分二酸化炭素排出量が増加してしまう可能性があるからです。
PUEの算出方法
PUEは以下の式で算出されます。
PUE = データセンター全体の消費電力量(kWh)/IT機器の消費電力量(kWh)
PUEの値が小さいほど、データセンターの電力効率が良いとされています。一般的なデータセンターのPUEは2.0だとされています。また、IT機器にはサーバーやストレージ、管理用端末、ネットワーク機器、KVMスイッチなども含まれます。
PUEの活用
米国環境保護庁(EPA)もPUEを推進しています。米国においては、グーグルが2009年に6つのデータセンターのPUEの平均が1.21となったと発表。最も低いものではPUEが1.12でした。さらに、2016年7月にはAI研究部門「Google DeepMind」の機械学習技術により、データセンターのサーバー等の冷却に必要な電力の40%を削減することに成功。これでPUEが15%改善できるとしています。同社は2011年にすでに、第四四半期の平均で業界最小クラスの1.12を達成していました。
日本では、グリーンIT推進協議会や総務省が、PUEやその他のデータセンターにおけるエネルギー効率化の測定指標に着目しています。また、国内のITベンダーも当該指標を利用。日立製作所は2013年6月、PUEの値1.18を達成しています。
課題
PUEの欠点は、今後、技術の進歩によってIT機器の消費電力が小さくなった場合、値が大きくなってしまうという点です。例えば、データセンターの設備の消費電力量が100、IT機器の消費電力量が100の場合、PUEは、200/100で2.0です。しかし、技術の進歩でIT機器の消費電力量が80になった場合、PUEは180/80で2.25となり、値が大きくなってしまいます。
これに対してグリーン・グリッドは、IT機器での省エネ化が可能なら、データセンター内の他の設備についても改善が可能になったと、捉えています。IT機器だけでなく空調や照明、UPS(無停電装置)などの設備についても消費電力を改善することで、さらなるエネルギー効率化を実現できます。
PUE以外の評価指標
グリーン・グリッドは、PUEの他、DCiE(Data Center Infrastructure Efficiency)という指標も推奨しています。これは、PUEの値の逆数に100をかけてパーセンテージで表示したもの。例えばPUEが2.0のとき、DCiEは50%です。この指標から、IT機器の消費電力量がデータセンターにおける消費電力量に占める割合がわかります。
参考
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