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用語集

世界人権宣言

 世界人権宣言(Universal Declaration of Human Rights)とは、人権及び自由を尊重し確保するために、全ての人々や国が達成すべき共通の基準を定めた宣言です。1948年12月10日、パリで開催された第3回国連総会で採択されました。これを受け、毎年12月10日は世界人権デーとなっています。

背景

 人権宣言の歴史は、1776年アメリカ独立宣言や1789年フランス人権宣言にまで遡ります。これらの影響で19世紀から20世紀前半に、欧米では憲法に人権保障に関わる内容が組み込まれました。しかし、第1次世界大戦や第2次世界大戦では数々の人権侵害が行われたことを背景に、第2次世界大戦後に創設された国連において、世界平和実現のために人権保障を各国が協力して行うため世界的な人権宣言を行う気運が生まれました。

 まず、1946年に開かれた経済社会理事会の第1回委員会において、国連人権委員会の設置が決定されます。そして、1947年の第4回経済社会理事会は、国連人権委員会委員長の要請に基づき、国際人権章典起草のため委員会を設け、オーストラリア、チリ、中国、フランス、オランダ、ソ連、英国、米国を委員国に選出しました。この起草委員会は、事務局作成の章典概要、英国の提出した章典案、米国の提出した章典条項案、フランスの提出した宣言条項案をもとに審議した結果、法的拘束力がない人権宣言と法的拘束力をもつ人権規約の双方が必要であるとして、その草案を国連人権委員会に提出ししました。

 そして、1947年の第2回国連人権委員会において、世界人権宣言、2つの国際人権規約(社会権規約、自由権規約)、市民的、政治的権利に関する国際規約への第一・第二選択議定書の3つを合わせて「国際人権章典(International Bill of Human Rights)」とすることが決定。翌1948年の第3回国連総会で、「世界人権宣言」が賛成48、反対0、棄権8、欠席2で採択されました。

概要

 世界人権宣言は、前文と30の条文から成ります。

 前文では、同宣言の趣旨として下記のことが述べられています。

(1)「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎」であること、

(2)「人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言され」、

(3)「人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要である」

 そして同宣言の目的には、「社会の各個人及び各機関」が、「これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」となることを掲げています。
 
 また本文では、下記の内容が規定されています。

・基本原則(第1条、第2条)
 「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」こと、「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる」こと。

・市民的、政治的権利に関する権利(第3条〜第21条)
 生存、自由、身体の安全の権利や、奴隷及び苦役からの自由、拷問または残虐な、非人道的もしくは屈辱的な取り扱いもしくは刑罰からの自由、思想、良心及び宗教の自由、参政権など。

・経済的、社会的及び文化的権利に関する権利(第22条〜第27条)
 社会保障を受ける権利や、休息及び余暇をもつ権利、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利、教育を受ける権利、社会の文化生活に参加する権利など。

・人権保障一般に関するもの(第28条〜第30条)
 全ての人が「この宣言に掲げる権利及び自由が完全に実現される社会的及び国際的秩序に対する権利」を有し、「その人格の自由かつ完全な発展がその中にあってのみ可能である社会に対して義務を負う」ことを規定しています。また、「他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限」のみで、その権利行使が制限されます。

世界人権宣言と国際人権規約の関係

 世界人権宣言は、世界中のすべての人々の市民的、政治的、経済的、社会的、そして文化的分野における多くの権利を対象としています。各国政府は、同宣言の規定を達成する必要がありますが、厳密には法的拘束力はありません。しかし、世界人権宣言で規定されている内容は、多くの国際条約で引用、言及されており、国際慣習法になっており、法的拘束力を有するという見解が国際法学者の間で多数を占めています。

 前述のように、両者は、国連による国際人権章典を作成するという計画のもとで作られたため、内容はほぼ共通しています。しかし、一方に記載されており他方に記載されていない権利もあります。例えば、迫害を免れるため、他国に避難する権利(第14条1)、国籍を持つ権利(第15条)、財産を所有する権利(第17条)は、世界人権宣言にのみ規定されています。また、国際人権規約のみに規定されているものには、自決権(社会権、自由権両規約第1条)、戦争宣伝の禁止等(自由権規約第20条)、児童の権利(自由権規約第24条)、少数民族の権利(自由権規約第27条)などがあります。

参考

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