気候変動適応 2021/02/10 辞書

 気候変動適応とは、現在または予想される気候変動とその影響に適応することです。 気候変動を食い止める「気候変動緩和」と並び、気候変動への対応方法の一つです。気候変動適応には、漸進的適応(システムの本質と完全性を維持することを目的とする行動)と変容的行動(気候変動とその影響に対応すするためにシステムそのものの基本的な属性を変更する行動)の2つがあります。

 増分的行動は、現在の社会生態系の小規模な調整を促進し、気候変動の影響に対する耐性を構築することに焦点を当てています。例としては、農業生態系を気候変動の影響に適応させるために、灌漑システムの構築、家畜の数や耕作面積の削減、肥料や農薬の使用量の増加、新しい作物品種の使用など、農業や土地の管理方法を調整することが挙げられます。

 変革的行動とは、持続不可能または望ましくない軌道からシステムをシフトさせることで、長期的に気候変動に対する脆弱性の根本原因を減らすことを目的とした戦略であります。例としては、河川の再生や氾濫原での人間活動の移転(水路や堤防の建設ではなく)、水不足時の水利用割当量を管理するための複数の利害関係者による委員会の設置等が挙げられます。

適応方法

 気候変動適応は、ハザード、脆弱性、曝露という3つのリスク要因を通じて、気候リスクを低減するのに役立ちます。気候ハザードは、生態系に基づいた適応の助けを借りて低減することができます。

 例えば、マングローブが暴風雨のエネルギーを減衰させる力を持っていれば、洪水を防ぐことができるかもしれません。このように、マングローブの生態系を保護することは気候変動適応において非常に重要です。また、保険と生計の多様化は、回復力を高め、脆弱性を減少させることができます。

 脆弱性を減らすためのさらなる行動としては、社会的保護の強化や、災害に強いインフラの構築が挙げられます。気候リスクの高い地域から撤退し、早期警報や避難のためのシステムを改善することで、 脆弱性を減らすこともできるでしょう。

 その他の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 水資源をより効率的に利用すること
  • 建築基準法を将来の気候条件や異常気象に適合させること
  • 洪水対策を構築して堤防のレベルを上げること
  • 旱魃に強い作物を開発すること
  • 暴風雨や火災に弱い樹種や林業を選択すること
  • 種の移動を助けるために土地の回廊を確保すること

日本での動き

 日本の国会では、2018年6月に「気候変動適応法」が成立しました。この法律が成立する前から、温暖化対策の推進に関する法律に基づき、温室効果ガスを削減するための対策が採られていました。しかし、気候変動適応に関する法令が今回が初めてです。

 「気候変動適応法」は、国に対し、地球温暖化対策計画を策定し、温室効果ガスの排出抑制を促進するための措置を講じることを義務づけています。地方公共団体は、その地域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出抑制のための措置を推進する努力義務を負っています。事業者も、事業活動における温室効果ガスの排出抑制のための措置を講じる努力義務と、国及び地方公共団体の温室効果ガス排出に関する指令に協力する努力義務を負っています。

 気候変動の影響は、地域特性によって大きく異なります。そのため、その地域特性に精通した自治体が率先して取り組むことが不可欠です。

 将来の気候変動の影響に関する科学的知見に基づき、以下にいくつかの適応法が挙げられています。

  • 高温に強い品種を使った農産物の開発
  • 魚類分布の変化を踏まえた漁場の設定
  • 堤防、治水施設の整備を行う
  • 水害危険度マップの作成
  • 熱中症対策を推進する

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