Sustainable Japan QUICK ESG研究所

カーボン・オフセット 2016/02/05 辞書

カーボン・オフセットとは

カーボン・オフセットは、人間の経済活動や生活などを通して排出された二酸化炭素などの温室効果ガスについて、削減しようと努力をしてもどうしても削減できない分の全部または一部を、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業(排出権購入)などで、埋め合わせすることを言います。

環境省のまとめている「カーボン・オフセット制度」のウェブサイトでは、下記のように定義しています。

「市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、クレジットを購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせることをいう。」(http://jcs.go.jp/about.htmlより引用)

カーボン・オフセットが必要なのか

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2013年に発表した第5次報告書では、地球温暖化を産業革命前に比べて2度以下に抑制するには、おおむね、2050年までに世界全体で2010年時点に比べて40〜70%の排出削減しなければならないと、発表されました。これを達成するには、世界の国々が一致団結して、排出削減に取り組まなければなりません。そして、排出削減がどうしてもできない部分については、カーボン・オフセットなどの取り組みが必要になります。

カーボン・オフセットのやり方

国連の会議などによる課題に対して国家がおこなう場合と、個人、企業がおこなう場合があります。

簡単な流れ

1)カーボン・オフセットをしたい活動を決める。
2)その活動で排出された温室効果ガスの量を算出する。
3)排出される温室効果ガスを削減する努力をする。
4)どうしても排出されてしまう温室効果ガスを算出し、そのぶんを排出権(クレジットとも呼ばれる)などを用いてオフセット(=埋め合わせ、相殺)する

5つの方法

具体的な方法としては、日本の場合は5つのパターンがあります。
※以下⑤まで、カーボン・オフセットフォーラムのウェブサイトより抜粋。

我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」によると、カーボン・オフセットには、主に次のような取組があります。

①オフセット商品・サービス
製品を製造/販売する者やサービスを提供する者等が、製品やサービスのライフサイクルを通じて排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取組。

②会議・イベントのオフセット
コンサートやスポーツ大会、国際会議等のイベントの主催者等が、その開催に伴って排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取組。

③自己活動オフセット
自らの活動、例えば組織の事業活動に伴って排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取組。

④クレジット付き商品・サービス
製品を製造/販売する者、サービスを提供する者又はイベントの主催者等が、製品・サービス等の消費者に対し、クレジットの活用による地球温暖化防止活動への貢献・資金提供等を目的として参加者を募り、クレジットの購入・無効化をする取組。

⑤寄付型オフセット
製品を製造/販売する者、サービスを提供する者又はイベントの主催者等が、製品・サービス等の消費者に対し、クレジットの活用による地球温暖化防止活動への貢献・資金提供等を目的として参加者を募り、クレジットの購入・無効化をする取組。

歴史

1997年に、イギリスにあるフューチャーフォレストという植林NGOの団体の取り組みから始まったと言われており、その後欧米を中心に広まりました。特に英国や米国では、企業やNPO団体など、数10社がカーボン・オフセットを提供しています。

世界的な傾向としては、2015年の世界銀行の発表で、カーボン・オフセットのための排出権取引のために価格をつけられた温室効果ガスの排出量は2005年と比べ3倍になっています。地球全体の温室効果ガスの4分の1程度を排出している約40の国家で、排出量に値段がつけられ、排出権取引により、これらの国家の排出量の約半数が相殺できます。これは、7ギガトン分の温室効果ガスで、地球全体の排出量の12%にあたります。
(※世界銀行で2015年に発表されたレポートによる情報)

日本での動き

日本では、環境省が2008年に「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」に基づき、カーボン・オフセットフォーラム(J-COF)を設立しました。J-COFでは、オフセットの取り組みに関する情報収集・提供、相談支援等、各種ガイドラインの策定、先進的な取り組みをモデル事業として支援するなど、適切かつ透明性の高いカーボン・オフセットの普及に努めています。以来、国内でも主に企業向けにカーボン・オフセットのコンサルティングをおこなう企業が増えています。

また、環境省、経済産業省、農林水産省は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度が発展的に統合し、国内での排出削減活動(具体的には省エネルギー機器の導入など)や森林経営によって生じた排出削減・吸収量を認証する「J-クレジット制度」を創設しました。国内のカーボン・オフセットの普及、カーボン・オフセットに用いる温室効果ガスの排出削減量・吸収量の信頼性を高める努力をしています。

また、J-COFでは、「市民、企業等がカーボン・オフセットを実施する際に必要なクレジットの提供及び カーボン・オフセットの取組を支援又は取組の一部を実施するサービスを行う事業者」とする「オフセット・プロバイダー」を認証する制度を設立。より信頼性の高い排出権による取引を進めようとしています。

※オフセットプロバイダー一覧はこちらです。

今後の課題

以前、カーボン・オフセットするための削減活動が実質的な温室効果ガスの削減に結びついていない事例が、イギリスで指摘されたことがあります。また、排出削減の努力が不足しているのに「カーボン・オフセットをしているから大丈夫だ」と言ってしまう、いわゆる自己正当化にカーボン・オフセットを使ってはならないのではないか、という指摘もあります。これらの問題に対しては、カーボン・オフセットに関連するすべての個人、団体が、削減努力の重要性、カーボン・オフセットの本来の意味(排出量を知り、削減努力をしたうえで、どうしてもできない分をオフセットしていく)を繰り返し訴えていく必要があります。

排出権取引に関しては、日本で詐欺事件が起こったこともあり、信頼のおける排出権を使ったカーボン・オフセットが重要です。そのためには、J-クレジット制度による排出権か、環境省が認証しているオフセット・プロバイダーが取得している排出権かどうか、など排出権の内容のチェックを怠らないことが大切です。

日本国内では、認知度の向上が課題です。特に個人レベルではあまり知られておらず、国内のカーボン・オフセット付き商品も、そんなに増えていません。環境省で紹介されている企業の認証事例も毎年数十件程度です。

地球規模の大きな問題である温暖化対策として、今後も世界的にカーボン・オフセットの動きは広まっていくでしょう。企業、個人として注目、参加していきたい取り組みです。

参考文献、参考URL

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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