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【国際】不動産の債券投資においても高まるESG情報の重要性。GRESB調査 2015/11/21 ESG

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 不動産業界のサステナビリティ評価に関する国際ベンチマークのGRESB(グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク)は11月5日、私募債ファンドを対象に実施したGRESB Debt 2015の調査結果を公表した。同調査により、不動産の債券を取り扱う投資家らの間でもESG情報の重要性が高まっていることが明らかになった。

 GRESBは2009年以降、不動産のエクイティ投資におけるベンチマークを提供してきたが、債権を対象とする調査は今年が初めてとなる。私募債ファンドへの調査を通じ、経営管理、方針や成果の開示、リスク、デューデリジェンス、モニタリング、機会の6項目に焦点をあてて不動産賃貸人のサステナビリティ状況およびパフォーマンスを評価した。

 調査に回答したのはAviva Investors、UBSら10のファンドで、平均純資産総額(NAV)は50.3億米ドル、保有資産(ローン)数は127だった。調査対象ファンドの平均スコアは42で、「経営と方針」項目では平均スコアが34、「実行・貸付行動」項目では平均スコアが48となった。回答したファンドのうち、70%が担保レベルにおいて環境に関する方針を掲げているものの、実際のパフォーマンスも公開しているのは10%に過ぎなかった。

 GRESB不動産・債券マネージャーを勤めるSara Anzinger氏は「不動産投資における賃貸事業者の役割は非常に大きいことを考えれば、我々は、単に投資家が求めるからという理由だけではなく、ダウンサイドのリスクをよりしっかりと管理する上でESGデータが活用できるという観点からも、賃貸事業者らにこのサステナビリティに関する議論に加わってほしいと考えている」と語る。

 2007年の金融危機以降、商業用不動産のファンディングギャップを埋めるために不動産私募債ファンドが急速に拡大し、新しいアセットクラスが生まれた。GRESBによると、機関投資家の3分の2が私募債ファンドに既に投資しているかもしくは投資を検討中で、そのうち43%が特に不動産債券に興味を持っているという。

 今回発表されたGRESB Debt 2015の調査結果は、債券ファンドの投資家や運用者に対してサステナビリティ情報に関する体系的な評価や客観的なスコア、およびベンチマークのための新たなプラットフォームを提供するものだ。特に今回の調査結果は不動産の賃貸においてもESG統合に向けた新たな変化が生まれ始めていることを示している。

 不動産業界は賃貸者に対して経済的価値を創出するだけではなく、環境課題の解決に向けたユニークな機会も提供している。不動産に紐づく環境への影響を特定し、削減するためには資産レベルと借主レベル双方のESG情報を信用リスク分析や価格モデル、デューデリジェンス、そしてポートフォリオのモニタリングへと統合する必要がある。今後も不動産賃貸分野におけるESG統合がさらに進むことを期待したい。

【調査結果】2015 GRESB Debt Results
【参考サイト】GRESB Debt Report 2015
【参照リリース】2015 GRESB Debt Survey: Debt Funds Starting to Integrate ESG in Real Estate Lending
【団体サイト】GRESB

株式会社QUICK ESG研究所

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