Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【機関投資家】スチュワードシップ活動とESG投資の最前線〜(9)三井住友信託銀行〜 2016/03/08 ESGレポート

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 機関投資家の間で責任投資、ESG投資の実践に向けた機運が高まってきた。早くから、実践に移してきた運用機関の一つが、三井住友信託銀行だ。2006年に国連の責任投資原則(PRI、Principles for Responsible Investment)が公表された当初段階で、PRIへの賛同署名を行っている。

 今回は三井住友信託銀行の責任投資やESG投資への取り組みについて、同社で運用セクションの企業調査を統括するリサーチ運用部長の堀井浩之氏と、運用ビジネスの取りまとめ部署である総合戦略運用部業務企画チーム・主任調査役の小林隆宏氏に聞いた。同社は日本の公的年金、企業年金向けを中心とした資産運用を受託。その受託資産残高は銀行単体で約51兆円、グループ全体では約76兆円に達する(2015年9月末時点)。

 同社のESG投資とスチュワードシップ活動の特徴として、次のような点が挙げられる。
◆「ESG情報」とは「非財務情報」であるとの位置づけで、財務情報の補完として企業ビジネスのオポチュニティとリスクを定性評価し、「ESGスコア」を約500銘柄に付与。ESG評価を投資プロセスに組み込む「ESGインテグレーション」を日本株式のアクティブ運用において実施。
◆ESG専任のアナリストは置かず、企業アナリストが企業調査、ESG評価、議決権行使の原案作成のすべてをワン・ストップで行う。
◆ESG情報の共通評価軸を定め、評価の「可視化と均質化」に注力。
◆企業とのエンゲージメントは「意見表明」であり、事業環境、基盤等も踏まえた建設的な意見表明を行うよう徹底。
◆議決権行使は、エンゲージメント(意見表明)の一つの手段として適切に対応。
◆統合報告書など企業の公開情報は、エンゲージメントを効果的に行ううえで有効。

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(写真)向かって右が堀井氏、左が小林氏。

質問

1. 歴史/経緯

(Q)ESG投資を巡る大まかな歩み(例えば、PRI署名など)や取り組みと、その背景・狙いを具体的に教えてください。また、日本版スチュワードシップ・コードの受け入れにおいて、特徴や独自性を教えてください。

(A)当社グループは、2003年10月に国際的ネットワークである「国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)」に日本の信託銀行としては初めて署名、2006年5月に国連の「責任投資原則(PRI)」に署名するなど、国際的な企業行動指針や原則に署名し、その活動を実践するとともに、国連組織や海外の企業・NGOなどと協力し合いながら国際的な行動基準づくりへも積極的に参加してきた。

 また、初期段階から企業の社会的責任(CSR)を評価して投資する社会的責任投資(SRI)を開始したほか、環境建築コンサルティング等、ESG要素を評価した環境金融商品の開発に力を注いできた。運用ビジネスにおけるESG評価についてもこれらの流れを受けた活動の一環である。

 日本版スチュワードシップ・コードについても2014年5月に受け入れを表明しており、「建設的な対話」により投資先の中長期的な企業価値向上と持続的成長を促し、お客様に投資リターンを還元する責任(スチュワードシップ責任)を果たしていくことに注力している。

2. 調査業務の体制

(Q)ESG投資に関わる調査業務の全体像を教えてください(具体的には、組織、体制、専任担当者の配置や役割、トレーニング、調査手法など)。

(A)当社の日本株式のアクティブ運用では、ESG評価を投資プロセスに組み込む「ESGインテグレーション」を実施している。当社の日本株運用資産残高は約12兆円(2015年9月末時点)あるが、そのうちアクティブ運用分の約2兆円でESGインテグレーションを実施している。

 当社ではESG専任のアナリストを置いておらず、業種担当の各アナリストが企業調査、ESG評価、議決権行使の原案作成のすべてをワン・ストップで行っている。産業・企業について社内で一番詳しいのは担当アナリストであり、当該企業に関わる調査、企業評価等は一切任せることが効果的だと考えるからである。

 企業アナリストはリサーチ運用部に所属しており、現在、23名が日本株式の調査・分析に従事している。アナリストは専門性が高いため、長期に亘って企業分析業務に従事してきた人材が多く、平均調査経験年数は13年、中には経験20年以上のアナリストも数名いる。これらのアナリストが「外需・テクノロジー」、「内需・消費」など4つのチームに分かれ、全体で800社を超す日本企業を調査対象としている。

 これらアナリストと企業との接触回数は、2014年度で延べ約9500件。これは企業訪問、決算説明会への参加、新製品発表会などの周辺調査を含む総数であり、このうち、企業経営層(常務クラス以上)とのミーティングはその1割程度に達している。

 アナリストは決算発表等の財務情報に基づく調査に加え、財務情報としては掲載されない情報「ESG情報(非財務情報)」も調査している。特にESG情報については各アナリストの「経験知」による部分が大きく、このため、ESGの企業評価においては共通の評価軸を用いてアナリスト間のディスカッションを活性化させるなど、ノウハウの継承、均質化に向けた努力を継続的に実施している。

3. ESG情報の具体的な投資への活用

(Q)ESG投資において、ESG情報(非財務情報)の活用方法を教えてください。その中で、企業の経営戦略・理念等の個々の情報をどのように取り扱っていますか。財務情報と関連付けした活用(インテグレーション)などについて、具体的にその内容を教えてください。

(A)当社ではESG情報の範囲を広く捉えており、企業に関する情報のうちで非財務情報を全てESG情報と呼んでいる。つまり「ESG情報=非財務情報」であり、企業とのエンゲージメントで得られた様々な非財務情報は全てESG情報として整理している。

 この非財務情報としてのESG情報は、企業のビジネス面の成長性を評価する「オポチュニティ評価項目」と、ビジネスリスクを判断する「リスク評価項目」の2つに分けることができる。オポチュニティ評価項目とは、経営力評価(経営理念及びその社内への徹底度合い等)、事業基盤評価(顧客価値、ブランド等)といった企業のアップサイドポテンシャルに関するものである。このうち、例えばEの環境関連装置や自動車排ガス触媒、Sの介護支援ロボットなどは、一定期間内での企業価値向上に与えるインパクトを測定できるので、こうした数値に置き換えが可能なビジネスは業績予想に置き換えて投資判断に活用するようにしている。

 一方、ビジネスの持続性等に関するリスクを評価するのがリスク評価項目であり、経営力評価(不祥事対応力等)、市場動向(代替品、新規参入リスク)等が挙げられる。リスク評価項目は、いつそのリスクが顕在化するかという時間軸の特定が困難であり、企業の株価評価には反映させにくい。中長期投資を志向する中で、リスク要因として考慮に入れておくべき性格のものと整理している。

 例えば、水不足や食料問題等は「中長期投資においてリスク要因となりうる要素」だが、以前はそれほど注目されていなかった問題であり、最近になって企業経営に与えるリスクが表面化してきた。このような要素をESG評価において的確に反映していくことが重要である。

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出所:三井住友信託銀行株式会社

 このように、ESG情報(非財務情報)の中で定量分析に組み入れることができない要素(多くはESGのうちG(ガバナンス)に関するもの)に対して、ESGスコア(点数)を付与している。このESGスコアを「財務情報を補完する投資判断材料」として全ファンドに提供しており、これが当社のESGインテグレーションの基本形となっている。なお、ESGスコアは、全般的にスコアの高い企業ほどROEが高めで業績の安定性もある、という傾向があるので、業績予想の確度も向上しやすい。

 ESGスコアは企業実態そのものの評価であるため変更頻度は高くないが、社長交代など経営者が変わった時、中期経営計画の公表時、不祥事が起こった時などの重要イベントが発生した際には見直しを行うようにしている。ただし、このようなコーポレートアクションがなくても、定期的な見直し・更新は行うようにしている。

 なお、ESGスコアの評価では約50項目の詳細項目を設定。各項目に点数を付与して平均化するスコアリング方法ではなく、突出した強みを持つ項目があればそれだけで高いスコアを付与することも可としている。これは、平均点方式でありがちな「企業の強み部分が埋没して良さが見えなくなる」ことを回避するためだ。また、評価項目を共通化したことで、組織内の評価の「均質化」を図る努力も進めている。共通の評価軸に沿ってアナリスト間のディスカッションを活性化することで均質化を図るとともに、ベテランアナリストのノウハウ継承も促進させている。

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出所:三井住友信託銀行株式会社

4. エンゲージメントなどの対応

(Q)責任投資において、日本版スチュワードシップ・コード受け入れへの対応、特に、企業とのエンゲージメント(目的を持った対話)をどのように実践していますか。具体的な内容をできれば事例に即して教えてください。

(A)当社ではエンゲージメントのことを「意見表明」と称しており、企業側に自らの行動を促すような納得感のある建設的な意見を述べることを徹底している。繰り返しになるが、肝心なのは企業が自ら動くことだ。

 エンゲージメントは双方向の対話といっても、ともすれば「ROEを上げてください」「株主還元してください」「社外取締役を増やしてください」といった数値等の形式にこだわった要求になりがちであり、それでは建設的な対話にはなりえない。形式にこだわった質問に終始するのではなく、アナリストが事業目線でしっかりと企業分析を行ったうえで、企業価値が高まるような中身を伴った意見を示すことが大切だ。例えば、ROEが低い理由を分析し、ROEを向上する方策を練る。増配など株主還元に関する意見表明する場合でも、今後数年間に設備投資計画に必要となる資金を押さえ、現在の内部留保の状況と照らし合わせ、キャッシュが本当に余るのかどうかなどを把握したうえで意見表明を行う。このような企業側の営みを理解した上でのエンゲージメントが重要となる。

 また、エンゲージメントは企業と面談するだけではなく、一連のサイクルとして「意見表明の準備」、「事前チェック」、「意見表明の実施」、「記録・モニタリング」のPDCAサイクルをしっかり実践することが大切と考えている。

 エンゲージメントに臨む前に、各アナリストが企業の経営課題を抽出し、企業への意見案を作成。その案を事前にクロスチェックする。経験豊富な調査担当者の目を通して、意見の質を向上させるためだ。経験を積んだアナリストの調査ノウハウを継承する意味合いもある。意見表明後に、企業側に何かアクションが起きたか、必ずモニタリングし、記録に残した上で部内共有するのも重要だ。

 なお、インサイダー情報は厳格に取り扱っている。エンゲージメントは企業の常務クラス以上の経営層と面談する中で行うことが多いが、その際、「インサイダー情報」は受け取らないことと、金融商品取引法が定める「企業の事業活動に重大な影響を及ぼす『重要提案行為』」は行わないことを明記した宣誓書を企業側に提示している。

 2014年度の例では、経営層との直接ミーティング約900件の3分の1にあたる300件で、意見表明を行った。エンゲージメントの具体例としては以下の様な事例がある。いずれも、長く業界を調査している経験に基づいてアナリストが重要と考える意見を表明している。

  • 不採算事業を続けている企業に、企業価値を上げるには当該事業から撤退し、そこで発生したキャッシュを成長が期待できる別のビジネスに振り向けることを推奨
  • 日本で成功したビジネスを中国など海外に展開しようとしていた会社に、海外の他社では既に失敗しており、民族性や社会性の違いから日本で成功したビジネスでも海外ではうまく行くとは限らないことを指摘
  • 新薬の開発をしている企業に、巨額の資金が必要となる新薬の開発では海外を含めたM&Aが効果的なことを説明

5. 議決権行使基準

(Q)責任投資において、日本版スチュワードシップ・コード適用への対応、特に、議決権行使に関する実践方法を教えてください。

(A)当社では指数連動型のパッシブ運用での投資先企業を含め保有銘柄に関する議決権行使を行っており、行使判断に使うガイドラインを定めている。議決権行使に関し、外部のアドバイザーの意見は参考にしていない。

 行使原案は、ガイドラインに沿ってアナリストが原案を作成。総合運用戦略部が原案をとりまとめ、最終的に担当役員が議決権行使を決裁する。企業のことを一番よく知っているアナリストが議決権行使の原案作成を行うのは自然だ。
 
 例えば、ストックオプション議案において1円で行使可能なスキームであった場合でも、行使価格が時価より低いからといって必ずしも反対というわけではなく、企業側との対話により、退職慰労金の廃止と併せてその見合いとしての導入であり、権利行使が退職後に可能となる等のスキームである等、相応の理由が確認できれば反対しないケースもありうる。全ての議案を一律に機械的に判断しているわけではない。
 
 議決権行使も企業に対する一種の「意見表明」だが、その意見表明は上程された議案の賛否にとどまる限定的な意見表明であり、「規定演技」といえる。ただし、役員選任の否決権も有するので、慎重な判断が必要になる。これに対し、エンゲージメントでの意見表明は持続的な企業価値向上のための、範囲を限定しない能動的なメッセージであり、「自由演技」といえよう。
 株主総会の議案に関わるようなエンゲージメントについては、企業のIR担当の役員は株主総会後の7月や中間決算発表後の11月頃に時間的余裕ができることが多く、この時期に企業から説明のための訪問を受けることも増えてきた。

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出所:三井住友信託銀行株式会社

6. 日本版スチュワードシップ・コード受け入れ後の変化

(Q)上記のESG情報の調査、活用、エンゲージメント、議決権行使において、昨年の日本版スチュワードシップ・コード受け入れの前後で、注力点など何か特徴的な変化はありますか。また、特に企業とのエンゲージメントにおいてESGそれぞれの観点の変化があれば教えてください。

(A)非財務情報の評価とは企業の競争力の源泉を見極めることでもあり、それをアナリストはESGという言葉がまだ無かった頃から行なっていたので、その意味では当社のリサーチ活動自体が極端に変わったということはない。

 ただ、日本版スチュワードシップ・コードが登場したことで、非財務情報が企業価値と密接な関わりを持つとの認識が世の中に浸透し、ESG情報を「可視化」して捉える動きにつながっている。また、当社ではESGスコアの手法を活用して、ベテランアナリストのノウハウを若手アナリストに伝承する枠組みの一つとして、リサーチ力の底上げにつなげており、ESG評価分析力の「均質化」を進めている。なお、エンゲージメントについては、それをサポートする組織的な体制(記録の管理、業務遂行を統括する会議体の設置等)の整備、強化を行っている。

7. アセットオーナーについて

(Q)責任投資を対象とした現在の資金の委託者(国内、海外のアセットオーナー)層を、企業年金基金、金融機関などの区分で教えてください。最近、国内・海外のアセットオーナーにおいて、ESGをはじめとする責任投資の考え方に変化は見られますか。あるとすればどのような変化ですか。

(A)機関投資家ビジネスのアセットオーナーについては、責任投資への前向きな動きの変化を感じる。世の中の流れを受けたものだ。当社もESG、特にGの要素をどう投資判断に組み込むかの説明を求められることが増えている。

 日本版スチュワードシップ・コードの受け入れ表明をしているアセットオーナーはまだ少ない。陣容面でも、アセットオーナー自らがエンゲージメントを行うのは難しい。例えば、アセットオーナーがアセットマネージャーの活動をモニタリングすることで十分なスチュワードシップ活動を行っているというコンセンサスが広がってくると、コードを受け入れやすくなるのではないか。

8. 企業のディスクロージャーについて

(Q)責任投資に関して、企業が発行しているコーポレート・ガバナンス報告書、統合報告書や年次(アニュアル)レポート、CSRレポート、環境報告書などの活用状況や注目点を教えてください。現在の活用状況のみではなく、今後の活用の方向性に関する何か見通しのようなものはありますか。例えば、今年6月以降のコーポレートガバナンス・コード適用後のコーポレート・ガバナンス報告書の扱いなど。

(A)これらの公開情報はエンゲージメント時のきっかけとなるものであり、大変有益である。他企業と比較して、経営課題への取り組みが進んでいるのか劣っているのかなど、公開情報から読みとれることも少なくない。仮に経営課題への対応が十分に読みとれない場合であっても、それを題材にエンゲージメントができ、意見表明の内容の参考にもなる。

 コーポレート・ガバナンス報告書にしても、正解を用意する無味乾燥なコンプライよりは、今の経営内容の素の姿を示すエクスプレインの方がよほど有益な情報になる。これら有益な情報を活用し、投資を通じて社会に利益を循環・還元することで、インベストメント・チェーンが有効に機能するのではないかと考える。

9. 具体的なファンドの事例

(Q)責任投資をキーワードに掲げて運用しているファンドにはどのようなものがあり、その運用資産規模、アセットオーナーの属性(年金基金、金融機関の資産運用、事業法人の資産運用など)、リスクとリターン特性(配当込みTOPIXまたはTOPIXと比較)を教えてください。

(A)日本株式を投資対象とした「日本株RI旗艦ファンド」を機関投資家向けに提供している。同ファンドは2003年、当行が「国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)」に署名したのとほぼ期を一にして運用を開始した。日本総合研究所が独自のESG評価をベースに選別した約400銘柄を投資候補(これは前記のESG評価対象の500銘柄とは必ずしも一致しない)とし、その中から銘柄選別して運用している。運用規模は約310億円(2015年9月末時点)だ。

 個人向けの公募投資信託(投資対象は日本株以外を含む)の例としては、同ファンドと同じ運用内容でグループ会社の三井住友トラスト・アセットマネジメントが2003年から運用している「SRI・ジャパン・オープン(グッドカンパニー)」や、同社が2010年から運用している「チャイナ・グッドカンパニー」と「生物多様性企業応援ファンド」があり、同じグループ内の日興アセットマネジメントが2010年に設定した「グリーン世銀債ファンド」もある。

10. 投資先企業について

(Q)上記に該当するファンド、特に企業とのエンゲージメントをキーワードに掲げたファンドで実際に投資している企業に何か共通点や特徴はありますか。可能な範囲で具体的にお教え下さい。

(A)エンゲージメントへの姿勢が前向きで、耳の痛い意見でも素直に聞き入れてもらえる企業が以前より目立つようになったと感じる。企業経営の実務を知らないアナリストの見方であっても、外から見た企業価値向上のための参考意見として経営者が重視するようなスタンスの企業も出てきているように思う。

11. 今後の方向性やメッセージ

(Q)他に、責任投資に関し、何か独自の取り組みや考え方がありますか。何かメッセージはありますか。

(A)当社は責任投資に真摯に取り組んでいる。日本版スチュワードシップ・コードも表面的な受け入れには決して終わらず、原則の実践に最善を尽くしている。特に「企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべき」とする原則の7番目は特に重要視しており、そのための体制整備や内容の高度化を図っている。

 「日本の株式市場はショートターミズム(短期売買志向)が優勢」とか「資産運用のクオリティ(質)が低い」という声を聞くのは、日本をホームグラウンドとして運用の現場に身を置く者として、正直悔しい。そんな見方を払拭するためにも、責任投資、ESG投資への本格的な体系化を今後も進めていく方針だ。

◇ プロファイル(会社概要)
 1924年に本邦初の信託会社として営業を開始した「三井信託株式会社」、大阪市の本拠を置き1925年設立の「住友信託株式会社」と1962年創業の「中央信託銀行株式会社」を母体にした経営統合により、2011年に「三井住友トラスト・ホールディングス株式会社」が発足。「三井住友信託銀行株式会社」の創立は翌2012年。

 三井住友トラスト・ホールディングスはグループにて、銀行事業、資産運用・管理事業、不動産事業を手掛け、グループ全体としてCSR活動を推進している。CSR関連の分野を「気候変動」「自然資本」「環境不動産」「責任投資」の大きく4つに分け、経営企画部のCSR推進室が中心となって、それぞれ多面的な活動を展開している。その内容は同社のサイト(CSRレポート)に詳しい。

◇ PRI署名
 2006年署名:PRI Public Transparency Report 2014/15

日本版スチュワードシップコード受け入れ内容

◇運用資産の概要
 受託資産残高:51兆6030億円(2015年9月末時点)
 内訳:国内株式:12兆4140億円、外国株式:10兆1330億円、国内債券:15兆720億円、外国債券:6兆560億円、オルタナティブ:1兆4780億円、その他:6兆4490億円

 ※上記残高に、三井住友トラスト・アセットマネジメントと、主に個人向け投資信託の運用を行っているグループの日興アセットマネジメントの運用資産を加えた受託残高は約76兆円

取材日:2015年12月11日

執筆:QUICK ESG研究所 (聞き手:高瀬浩、真中克明)

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