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【政府・レギュレーションの動向】「地球温暖化対策計画(案)」について 2016/04/22 ESGコラム

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 2016年3月15日に第34回地球温暖化対策推進本部(以下、「推進本部」という。)が開催された。

 会議では、「地球温暖化対策計画(案)」(以下、「計画案」という。)、「政府がその事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画(政府実行計画)の骨子案」および「地球温暖化防止のための国民運動の推進体制の強化」について議論が行われた。

 「計画案」等は、今回の会議で了承され、これを受けて内閣官房、環境省地球環境局および経済産業省産業技術環境局がパブリックコメントを実施。今後、2016年5月26日から2日間にわたり開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)までに閣議決定を行うことを予定している。

 さらに、次の改正内容を折り込んだ「地球温暖化対策の推進に関する法律」(以下、「温対法」という。)等の改正を行う見込みである。

  • 国と様々な主体が連携した地球温暖化対策の推進に関する普及啓発の強化
  • 国際協力を通じた温暖化対策の推進
  • 地方自治体の地域レベルの温暖化対策の推進等

 「計画案」は、温対法第8条および「パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組み方針」に基づき策定されたものであり、「日本の約束草案」で示した我が国の2030年度削減目標の達成に向けた道筋を明らかにするものである。具体的には、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、我が国唯一の地球温暖化に関する総合計画として位置づけられ、温室効果ガスの排出抑制および吸収の目標、事業者および国民等が講ずべき措置に関する基本的事項ならびに目標達成のために国および地方公共団体が講ずべき施策等について記載されている。

 事業者は、次のような基本的な役割を担うことになる。

  • 事業内容等に照らして適切で効果的・効率的な地球温暖化対策を自主的かつ積極的に実施すること
  • 社会的存在であることを踏まえて、実施状況を点検し、従業員への環境教育を実施するとともに労働組合および消費者団体等と連携した温室効果ガスの排出削減等に取り組むこと
  • 製品・サービスのサプライチェーンおよびライフサイクルを通じた環境負荷の軽減を図ること

 上記を踏まえたうえで、事業者は、産業部門、運輸部門、エネルギー転換部門および業務部門別に、さらに分野横断的に、温室効果ガス排出量の約9割を占めるエネルギー起源二酸化炭素の排出抑制を目指して様々な取組みを行うことが求められている。

 民生部門(家庭・業務)においては、2030年度削減目標の達成に向け、2013年度比で40%という大幅な削減が必要となる。地球温暖化対策推進のためには、国、地方公共団体および事業者とともに、国民としても、地球温暖化に関する危機意識を自覚し、一人一人が意識改革を行い、ライフスタイルの転換を図っていかなければならない。

 目標達成に向けた家庭部門の取組みとして、以下の例が挙げられている。

  • 低炭素製品への買い換え

LED等の高効率照明、エアコン、冷蔵庫およびエコカーなどの省エネ製品

高効率給湯器、節水型トイレ、家庭用燃料電池等の省エネ機器

太陽光発電、高断熱、高気密の住宅新築・リフォーム

  • 低炭素サービスの選択

公共交通

都市部でのカーシェアリング

低炭素物流サービスの利用

エネルギーマネジメントシステム(HEMS)、スマートメーターを利用したエネルギー管理の徹底

  • 低炭素ライフスタイル転換

クールビズ、ウオームビズ

ウオームシェア(公共施設、都市部での銭湯の利用等)等

<「地球温暖化対策計画(案)」の概要>

はじめに

①地球温暖化の科学的知見

②京都議定書第一約束期間の取組み、2020年までの取組み

③2020年以降の国際枠組みの構築、自国が決定する貢献案の提出

第1章 地球温暖化対策の推進に関する基本的方向

① 我が国の地球温暖化対策の目指す方向 

1.中期目標(2030年度26%削減目標)の達成に向けた取組み

日本の約束草案に基づき、国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度において、2013年度比26.0%減(2005年度比25.4%減)の水準にするとの中期目標に向けて着実に取り組む。

2.長期的な目標(2050年80%削減を目指す)を見据えた戦略的取組み

・我が国は、パリ協定を踏まえ、全ての主要国が参加する公平かつ実効性ある国際枠組みのもと、主要排出国がその能力に応じた排出削減に取組みよう国際社会を主導し、地球温暖化対策と経済成長を両立させながら、長期的目標として、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指す。そのためにイノベーションによる解決を最大限に追求する。

3.世界全体の温室効果ガスの排出削減等に向けた取組み

② 地球温暖化対策の基本的考え方

1. 環境・経済・社会の統合的向上

2.「日本の約束草案」に掲げられた対策の着実な実行

3.パリ協定への対応

4.研究開発の強化と優れた低炭素技術の普及等による世界の温室効果ガス削減への貢献

5.全ての主体の意識の改革、行動の喚起、連携の強化

6.PDCAの重視

第2章 温室効果ガスの排出抑制・吸収の量に関する目標

① 我が国の温室効果ガス削減目標

2030年度に2013年度比26.0%減(2005年度比25.4%減)

2020年度において2005年度比3.8%減以上

② 計画期間 

閣議決定の日から2030年度まで

第3章 目標達成のための対策・施策

① 国、地方公共団体、事業者および国民の基本的役割

② 地球温暖化対策・施策

③ 公的機関における取組

④ 地方公共団体が講ずべき措置等に関する基本的事項

⑤ 特に排出量の多い事業者に期待される事項

⑥ 海外における削減の推進と国際連携の確保、国際協力の推進

第4章 地球温暖化への持続的な対応を推進するために

① 地球温暖化対策計画の進捗管理

毎年進捗点検を厳格に行い、少なくとも3年ごとに計画見直しを検討

② 国民の努力と技術開発の評価方法

③ 推進体制の整備

別表 個々の対策に係る目標

<「政府実行計画(骨子案)」の概要>

地球温暖化対策計画に即して、政府のオフィス棟に関する温暖化対策の計画である政府実行計画を策定し、政府が率先して取組を行うことで、地方公共団体や民間企業への波及を期待するもの。

目標・計画期間

2030年度における排出量を政府全体で40%削減することを目標とする。

2020年度の温室効果ガス排出量の削減率の中間目標を定め、5年ごとに計画を見直しながら進めるものとする。

主な対策

省エネルギー診断の実施

BEMSの導入等

LED証明を可能な限り率先導入

庁舎のエネルギー消費実態の公開、ベンチマーク評価の導入、ワークライフバランスの促進

次世代自動車の率先導入

ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に向けた検討

その他、省エネルギー性能の高い機器の率先導入等

<「地球温暖化防止のための国民運動の推進体制の強化について」の概要>

背景

2030年度26%削減の達成に向け、特に「家庭・業務部門」においては40%という大幅削減が必要。

そのためには、規制、税制、補助金といった施策に加え、国民一人一人の意識改革やライフスタイルの転換を図るための普及啓発を抜本的に強化する必要。

環境大臣をチーム長とする「COOL CHOICE 推進チーム」を設置し、エコカー、省エネ住宅、家電など低炭素型商品・サービスの拡大につながるよう、経済界および地方公共団体などと緊密に連携して、効果的な普及啓発に取り組む。

推進体制

COOL CHOICE推進チーム

地球温暖化対策の国民運動に関する関係省庁連絡調整チーム

進捗管理

環境省はPDCAを徹底する。

中央環境審議会で評価結果を審議し、地球温暖化対策計画の点検・評価に反映させる。

【参考資料】

地球温暖化対策推進本部(第34回)議事次第および配布資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/dai34/gijisidai.html

「地球温暖化対策計画(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について
https://www.env.go.jp/press/102259.html

地球温暖化対策の推進に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10HO117.html

パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組方針(2015年12月22日 推進本部決定)
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/cop21_paris/paris_conv-b.pdf

日本の約束草案 (2015年7月17日 推進本部決定)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000090897.pdf

国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)及び京都議定書第11回締約国会合
(COP21/WOP11)
http://www.env.go.jp/earth/cop/cop21/index.html

QUICK ESG研究所 菅原晴樹

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