Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【政府・レギュレーションの動向】「SSコードおよびCGコードのフォローアップ会議」(第7回概要) 2016/04/28 ESGコラム

meeting

 「スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(以下「会議」という。)」第7回会合が2016年4月26日に開催された。

 これまでは、コーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」という。)に関わる取締役会等を巡る論点および政策保有株式について議論され、前回第6回会合(2016年2月18日開催)において「会社の持続的成長と中長期的企業価値の向上に向けた取締役会のあり方(以下、「意見書」という。)」が承認された。

 前回会合でコーポレートガバナンス・コードに関する議論は一区切りとなり、会議の後半で、今後の論点である「企業と機関投資家の間の建設的な対話」の参考として「スチュワードシップ・コード受入れ機関の取り組み方針・活動内容の公表状況」について説明が行われた。

 今回、スチュワードシップ・コード(以下、「SSコード」という。)に関わる「企業と機関投資家の間の建設的な対話」について実質的な議論が開始された。

 事務局(金融庁)から資料1「企業と機関投資家の間の建設的な対話(2)」に基づいて説明が行われた。

 CGコードおよびSSコードが導入され、意見書の公表もあり、企業のガバナンス改革に向けた基本的な枠組みは整った状況にある。今後の課題は、「投資家が、企業との「建設的な対話」を充実させることにより、企業が実効性あるガバナンス改革を加速させていくこと」として、これまでの会議の議論における意見を7項目に集約している。

  • 機関投資家には、企業側に「気づき」を与える実質的な対話を行うことが求められる。他方、形式的な対話が増加し、機関投資家による経営理念等への理解が不十分なケースがある。また、対話への姿勢が積極的でない企業が見られる。
  • 運用機関のガバナンスがしっかりしていないケースがあるのではないか。特に、運用機関において、親会社の金融機関との利益相反がある場合の対処方法について、明確な説明がないケースがある。
  • 利益相反の懸念を払拭する上で有効な方法の一つは、議決権行使結果の開示ではないか。生損保等は、具体的な議決権行使方針や、議決権行使結果の議案ごとの集計を公表している会社の割合が少ない。
  • パッシブ運用は、アクティブ運用と異なり、株を売却する選択肢がないため、 エンゲージメントを通じて中長期的な企業価値を向上させる必要性がより高い。一方で、パッシブ運用の対象となる全社と対話を実施することは困難であることから、エンゲージメントの方法に工夫が求められる。
  • アセットオーナーには、スチュワードシップ・コードの趣旨に沿って、短期的な視点に偏ることなくアセットマネージャーを評価することが期待される。
  • 企業年金基金によるスチュワードシップ・コードの受入れが少なく、受入れを円滑にするための環境整備が必要。
  • 議決権行使助言会社は、形式的な企業の対応を助長する結果につながらないよう、実質的な判断を行うよう努めるべき。機関投資家も、議決権行使助言会社の助言に形式的に依拠するのではなく、助言サービスの利用に先立ち、 助言者の質等を具体的に検証するなど、自ら実質的な判断を行う必要。

 次に、事務局(東京証券取引所)から資料2「企業と機関投資家の間の建設的な対話関連資料」に沿って、CGコード基本原則5「株主との対話」に基づく開示事例の説明があった。

 当該資料の参考として、2016年3月末時点のCGコードへの対応状況が示された。

 2015年12月末時点から開示企業数は160社増加しているが,特に実施状況の傾向には変化が見られない。

 1. 東証第一部・第二部上場の2,018社が開示した。

 2. このうち、

  • 全73原則をコンプライしている会社:11.1%(225社)
  • 一部をエクスプレインしている会社:88.9%(1,793社)

 原則ごとでは

  • 全社が実施している原則:5原則
  • 一部の会社が説明している原則:68原則

 4. エクスプレイン率が高い原則は

  • 補充原則 4-11③ 取締役会の評価
  • 補充原則 1-2④  議決権の電子行使および独立社外取締役2名以上選任  等である。

 続いて、日本投資顧問業協会 岩間会長(会議メンバー)から、資料3「日本版スチュワードシップ・コードへの対応等に関するアンケート(第2回)結果」に沿って、結果説明が行われた。

 その後、自由討議となり、金融グループ内の機関投資家の利益相反およびガバナンス、パッシブ運用におけるエンゲージメントのあり方、年金基金等のアセットオーナーの責任の重要性ならびに最終受益者に対するフィデューシャリーデューティー(受託者責任)などについて、意見が交わされた。

 次回以降も「建設的な対話」に関して、議論を進め、会議として意見等をまとめることになると思われる。

(注)

「スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」

2015年8月7日に設置され、会議の座長は 池尾 和人 慶應義塾大学経済学部教授、メンバーは総勢16名で企業経営者、内外投資家および学識者等から構成されている。オブザーバーとして、法務省民事局および経済産業省経済産業政策局が参加。事務局は金融庁総務企画局企業開示課および(株)東京証券取引所上場部である。

【参考資料】

  1. 2016年4月26日開催 第7回 配布資料
  2. コーポレートガバナンス・コード(2015年6月1日 株式会社東京証券取引所)
  3. 「責任ある機関投資家」の諸原則 ≪日本版スチュワードシップ・コード≫ ~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(2014年2月26日 日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会)
  4. 日本版スチュワードシップ・コードへの対応等に関する アンケート(第2回)の結果について (平成27年10月実施分)(2016年3月10日 日本投資顧問業協会)

QUICK ESG研究所 菅原晴樹

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