Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【フランス】エネルギー大手トタル、電池大手の仏サフトを約40%のプレミアムを乗せ買収 2016/06/11 ESG

total

 エネルギー世界大手の仏トタルと工業用電池メーカー大手の仏サフトは5月9日、トタルがサフトの発行済み全株式を友好的公開買付け(TOB)することに同意し、フランス金融市場局に申請したと発表した。買付金額は1株36.50ユーロ、合計9億5,000万ユーロ。前回の1株当たりの配当は0.85ユーロだった。

 今回の買収に伴うトタルの提示金額は、5月6日のサフト株の終値26.4ユーロに38.3%のプレミアムをのせたもので、過去6カ月間の加重平均株価に対して41.9%、過去1年間の加重平均株価に対して24.2%の割増しとなっている。この提示金額は2015年の報告済み減価償却前営業利益(EBITDA)の9倍の評価額であり、電池業界における最近の評価額と比較しても極めて高額の支配権プレミアムだ。

 発表によると、サフトの最高経営委員会は全会一致でこのトタルによる友好的買収を承認しており、トタルへの売却を、株主そして従業員の利益に合致するような形で進めたいと考えているという。株式については市場規制に従わなければならないが、最高経営委員会としては株主が公開買付けに応募することを勧める意向を発表している。フランス金融市場局は今後、提示条件が関連法規に遵守しているか審査する。

 今回の買収の背景には何があるのか。トタルは 2015年6月に石炭からの完全撤退を宣言し、8月には南アフリカ政府の承認を得て同国の石炭採掘子会社、Total Coal South Africaを地元企業へ売却した。同社は エネルギーミックスにおける天然ガスの割合の増加、サンパワー社との提携による太陽光エネルギーの推進、エネルギー効率の強化などにコミットした展開を加速させており、今回の買収は、サフトの工業用先進テクノロジー電池の設計と製造技術、そして19カ国、14製造所と4,100人以上の従業員を傘下に治めての新戦略となる。今後の更なる再生可能エネルギー事業の拡大に向けて蓄電は基幹事業となることが予見され、トタルにとっては大きなメリットとなる。

 一方のサフト(Saft)は、産業インフラおよび工程、運輸、軍民用エレクトロニクス市場向けのニッケル電池、リチウム1次電池の世界的なメーカー。リチウムイオン・テクノロジーを駆使してエネルギー貯蔵、運輸、通信ネットワーク市場に展開し、また宇宙・軍事用電池分野でも世界をリードしている。今回のトタルの提案は、130カ国以上の事業所と96,000人以上の従業員を擁する大手エネルギー製造・供給企業からの極めて好条件のオファーであり、サフトにとっては同社、従業員、投資家の立場を守りつつ、トタルの技術や財政的な支援を得て、より先鋭的かつ大規模なテクノロジー開発が可能になる。

 エネルギー大手企業による電池企業の買収は、脱炭素化時代を彷彿させるものだ。電池技術は、再生可能エネルギーの普及や、石油原料自動車から電気自動車への転換などには欠かせない分野。エネルギー世界大手は、未来の新エネルギー時代への生き残りを掛け、すでに新たな手を打ち始めている。

【参照サイト】Proposed acquisition of Saft Group by Total
【参考ページ】エネルギー大手のトタル、石炭生産から完全撤退へ

QUICK ESG研究所

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る