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【閑話休題】熱中症による死亡数増加は平均気温上昇の影響か ~平成27年人口動態統計の概況~ 2016/09/21 ESGコラム

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 厚生労働省は、2016年9月8日に「平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況」を公表した。

 人口動態統計(確定数)は、出生、死亡、婚姻、離婚および死産の実態を表すものとして、毎年作成しており、本年5月に公表した「平成27年人口動態統計月報年計(概数)」に修正を加えたものである。

 併せて、2015年から公表された「熱中症による死亡数(「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移」)」が、今年も引き続き公表された。

<結果の概要は次の通り>

1.出生数は増加

 1,005,677人で対前年比+2,138人(前年比+0.21%)増加し、前年と同様に辛うじて100万人台を維持した。

 1949年の2,696,638人が最高で、1953年には1,868,040人と一旦200万人を割り、1971年に再び、2,000,973人となったが、1975年にふたたび200万人割れ、その後減少傾向を辿り、現在に至っている。

 なお、合計特殊出生率は、平成27年国勢調査の年齢別人口確定後に算出・公表するため、今回の結果には織り込まれていない。

2.死亡数は増加

 1,290,444人で前年比+17,440人(前年比+1.4%)増加している。

 1947年に100万人を超えていたが、その後は100万人を下回り、1966年670,342人が最小となったが、以後増加傾向となり、2003年に再び100万人を超えてから、以後13年にわたりほぼ逓増して現在に至っている。

 死因別では、悪性新生物の死亡者数は370,346人で死亡数の28.7%を占めて死因順位の第1位となった。第2位は心疾患、第3位は肺炎であった。

 乳児死亡数は、1,916人(前年比▲164人)で、調査開始(明治32年)以来初めて2,000人を下回り、過去最少であった。乳児死亡率(出生千対)は1.9で前年の2.1より低下し、過去最低となった。

3.自然増減数は減少

 出生数と死亡数の差である自然増減数は、▲284,767人(前年比▲15,302人)で2007年にマイナスとなってその後9年連続でマイナスかつ減少となった。

4.死産数は減少

 死産数は22,617胎で、前年の23,524胎より907胎減少し、死産率(出産(出生+死産)千対)は22.0で、前年の22.9より低下した。

5.婚姻件数は減少

 婚姻件数は635,156組で前年比▲8,593組と減少した。

 1970年代前半は毎年100万組を超えていたが、その後、傾向的に減少し、現在に至っている。

6.離婚件数は増加

 離婚件数は226,215組で前年比+4,108組増加した。

 1971年に10万組を超えて以来、増加傾向を辿り、1996年に20万組台となり、それ以来20万組台を維持している。

7.参考:熱中症による死亡数の年次推移

 2015年9月に、平成26年(2014)人口動態統計に併せて、熱中症による死亡数(「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移」)が初めて公表された。

 平成27年(2015)人口動態統計によると、総数968人(うち、65歳以上781人)と前年に比べて+439人(うち、65歳以上+353人)増加した。年次推移でみると、2010年1,731人(うち、65歳以上1,372人)、2013年1,077人(うち、65歳以上833人)に次いで、2015年が多くなっている。

 都道府県別では、東京都154人、大阪府109人、兵庫県73人、神奈川県52人、千葉44人の順となっている。前年も、人口の多い首都圏、東海圏および近畿圏が多く、必ずしも平均気温が高い西日本に偏在しているというわけではない。

 気象庁が発表している日本の年平均気温偏差(℃)によると、2015年の日本の年平均気温の1981〜2010年平均基準における偏差は+0.69℃で、1898年の統計開始以降、4番目に高い値となった。日本の年平均気温は、長期的には100年あたり約1.16℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降、高温となる年(偏差が+となる年)が頻出している。

 因みに、熱中症による死亡数の多かった2010年は+0.61℃、2013年は+0.34℃であった。

 「人口動態」は、少子高齢化が進む我が国において、今後人口減少抑制に向けて、雇用、出産、育児、幼児教育、年金、医療、介護等、多岐にわたる解決しなければならない喫緊の課題を示唆している。

 それとともに、熱中症による死亡数と年平均気温にある程度関係性が見られることから、気温の上昇、ひいては国内の気候変動の影響とも思われる状況が顕現化していることも示しているのではないか。

(参考)

 消防白書にある「夏期の全国の熱中症による救急搬送状況」によると、2010年56,119件、2013年58,729件、2015年55,852件と、死亡者数が多い年は搬送件数も多くなっている。

(注)

 「人口動態調査」は、統計法(平成19年法律第53号)に基づく基幹統計「人口動態統計」を作成するための統計調査であり、戸籍法(昭和22年12月22日法律第224号 最終改正:平成28年5月27日法律第51号)および「死産の届出に関する規程」(昭和21年9月30日厚生省令第42号 最終改正:平成26年5月30日法律第42号)により届け出られた出生、婚姻、離婚および死産の全数を対象としている。

参考:

「平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況」(2016.09.08 厚生労働省公表)

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei15/index.html

「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の結果」(2016.05.23 厚生労働省公表)

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai15/index.html

「日本の年平均気温」(気象庁)

http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html

「平成26年版 消防白書」(消防庁) 第2-5-10表  夏期の全国の熱中症による救急搬送状況

http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h26/h26/html/2-5-5-5.html

「平成27年版 消防白書」(消防庁) トピックス3-2表 熱中症による救急搬送状況(平成23~27年)

http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h27/h27/pdf/topics3.pdf

QUICK ESG研究所 菅原晴樹

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