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【オランダ】循環型経済の到来が銀行のビジネスモデルに与える影響とは? 2015/07/27 ESG

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 オランダの銀行大手、INGグループは7月1日、循環型経済(サーキュラー・エコノミー)のビジネスモデルおよびそれが銀行に及ぼす影響、銀行の課題などについてまとめた報告書、”Circular economy challenges financial business models“を公表した。

 同報告書の中で、INGは銀行が循環型経済に対応するためには従来の考え方や事業慣行の大幅な転換が必要であり、資産の担保評価からキャッシュフローに目を向けた金融サービスへの移行が重要となると指摘している。

 同報告書は世界の資源枯渇や人口増加といったマクロ環境の変化に基づき循環型経済の重要性を語るとともに、それは具体的にどのような変化をもたらし、銀行の業務にどのような影響をもたらすのかを詳細に分析したものだ。

 INGによると、モバイル・インターネットやIoT(Internet of Things)、スマート素材や再生可能エネルギーといった技術は経済のあり方を大きく変え、従来の「Take、Make、Waste」というモデルから「Reduce、Reuse、Recycle」モデルへと移行するという。

 また、INGは循環型経済の到来により商取引は従来のBtoB、BtoCに加えてCtoC、CtoBといった新たな市場が生まれる、従来の販売と消費の中心にあった「所有」の移動という概念が薄れることで「所有」よりも「サービスへのアクセス」がより重要になる、企業のサプライチェーンや生産から消費までの一方向の直線的なものから循環型チェーンに変わり、製品のプロダクトライフサイクルは拡大され、これまでの販売者と購入者の排他的な関係ではなく「協働」や「共創」といった流れが生まれるなど、大きなパラダイム変換を予測している。

 INGは、このように循環型経済により従来のビジネスモデルが大きく変わることで、銀行の従来のサービスモデルは多くの課題に直面すると指摘する。具体的な課題として、企業のキャッシュフローの性質が変化し、従来の担保評価に重点を置いた融資モデルが適応できなくなるという点や、担保やその評価を取り巻く法的な問題などを挙げている。

 循環型経済においては「所有」から「サービスへのアクセス」が重要となることで、今後は売り切り型のビジネスモデルから、ユーザーがサービスの利用ごとにお金を支払う利用課金モデルが浸透していくと考えられる。このような「Product as a Service(サービスとしての製品)」型のビジネスにおいては、銀行は顧客の信用力よりむしろキャッシュフローに注目する必要があるとしている。キャッシュフローが販売時点で資金が譲渡される形式から、商品やビジネスのライフサイクル全体において頻繁に支払いが発生する形式へと変わるからだ。

 また、同社は循環型経済では価値交換のメディア自体がお金ではなく「モノ」や「サービス」になることもあり、従来の財務評価が見落としている領域の評価手法の必要性についても触れている。

 INGのシニアエコノミストで同レポートの著者も努めるGerben Hieminga氏は「現状の経済成長モデルは我々が必要とするあらゆるものを提供してくれている地球資源の限界に到達しようとしている。企業は自社の成長を資源利用と切り離すために、よりライフサイクル全体やそこで利用される資源に目を向けるようになってきている。循環型経済という概念は、収益と社会への影響を結びつけることによる解決策の提示を目指している」と語る。

 INGは、銀行が循環型経済に対応した事業モデルへ転換するためのアドバイスとして、資産に対する法的な所有権を主張するのではなく契約形態の柔軟性を高める、中古市場における価値評価など、循環型ビジネスモデルの特徴に対応した価値・リスク評価モデルを開発する、循環型製品やサービスに対してエンドユーザーにも届く財務インセンティブを用意する、クラウドファンディングプラットフォームと提携する、など様々な提案をしている。

 循環型ビジネスモデルが経済のスタンダードとなることで、銀行のビジネスモデルも転換が迫られるが、逆に銀行は主体的に資金融通を通じて循環型経済への移行を促進し、新たな事業機会を作り出すことも可能だ。INGの報告書は銀行業界だけではなく全ての人々にとって非常に示唆に富む洞察を提供してくれている。報告書は下記からダウンロード可能。

【レポートダウンロード】Circular economy challenges financial business models
【企業サイト】ING

株式会社QUICK ESG研究所

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