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【アメリカ】機関投資家ら、マクドナルドに対し鶏肉以外への抗生物質使用の中止を要望 2015/10/09 ESG

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 投資を通じた社会変革を目指す機関投資家ら約300社によるNGOのInterfaith Center on Corporate Responsibility(以下、ICCR)は9月17日、ICCRの会員企業および食肉生産会社、ファストフード企業らの株主が共同で米食品大手のマクドナルドに対し、食肉生産における治療目的以外での抗生物質の使用を禁止するよう求める株主決議案を提出したと発表した。

 マクドナルドは2015年の3月、抗生物質を餌として与えた鶏肉の使用を米国内の店舗で今後2年間かけて中止していくと発表していたが(参考記事:【アメリカ】米国マクドナルド、抗生物質を使用した鶏肉の調達を中止へ)、ICCRは鶏肉に限らず全ての食肉において抗生物質の使用を止めるべきであり、現状は公衆衛生を促進するというマクドナルドのビジョンが体現できておらずダブルスタンダードが存在していると指摘している。

 WHO(世界保健機関)、米国疾病管理予防センター、米国科学技術諮問委員会の報告書によると、現代人の中で高まっている抗生物質に対する耐性は今世紀に成された数多くの医学的進歩を無に帰する危険がある世界的な公衆衛生危機だと警鐘を鳴らしている。

 畜産業における治療目的以外の抗生物質の過剰使用は主として動物の成長を促進し、濃厚飼料による飼育下における病気の発生を防ぐためのものだが、この過剰使用が人体に抗生物質の耐性をつける主要因になっていると指摘されている。

 抗生物質を含む食品の摂取などを通じて耐性がつくことにより、米国では毎年200万人以上が疾病を患い、23,000人が死亡しているという。その社会コストは年間550億~700億円に及ぶとのことだ。

 今回ICCRらは株主決議案の中でマクドナルドの抗生物質使用に関する2015年のグローバルビジョンの改訂を求めており、具体的には病気の治療目的以外における抗生物質の使用を鶏肉、牛肉、豚肉全ての食肉サプライヤーにおいて世界的に禁止すること、専用業者以外から調達している食肉も含めてビジョンのグローバル全体における実施に向けた流れを明確にすることの2点を要望している。

 投資家らはマクドナルドが同課題に積極的に対応し、建設的な対話に臨むことを希望しているものの、一方で来年5月の年次総会において、全株主に同課題を提示する用意もできているとしている。

 最近は投資家から企業のESG課題に対する積極的な働きかけが増えているが、それは気候変動に限ったことではない。家畜に対する抗生物質の使用は、結果として同社の長期的な事業継続を危うくするという危機感が投資家の中にはある。公衆衛生を促進するというビジョンの下に横たわるダブルスタンダードを解消することができるのか、今後のマクドナルドの対応に注目が集まる。

【参照リリース】Investors See Double-Standard in Use of Antibiotics in McDonald’s Meat Production
【団体サイト】Interfaith Center on Corporate Responsibility(ICCR)

(※写真提供:View Apart / Shutterstock.com

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