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【国際】世界銀行、世界初のパンデミック保険を設定。パンデミック債の販売も実施 2016/06/06 ESG

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 世界銀行グループは5月21日、仙台で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議の場で、パンデミック(致死性の高い感染症の世界的大流行)の発生時に資金動員できる「パンデミック緊急ファシリティ(PEF:Pandemic Emergency Financing Facility)」を発表した。パンデミックの発生に対し国際レベルの迅速な対応ができる仕組みがないことが懸念されており、昨年5月にドイツのエルマウで開催されたG7サミットで議論に上り世界銀行グループに仕組みづくりを要請した。PEFは、パンデミック発生時に資金提供できる保険枠と、保険発動条件が満たされない未知のウイルスによるパンデミック発生時に発動できる現金枠が柱。PEFからの資金提供は、低開発国(世界銀行グループである国際開発協会の融資適格国)77ヶ国であればどこでも受けられる。

 世界銀行グループの発表によると、パンデミックの流行によって、世界全体で年間約5,700億米ドル(世界GDPの0.7%に相当)の損失が発生しており、人道的観点だけでなく、世界経済にも悪影響を与えている。1918年に流行した「スペインかぜ」のような極めて深刻な感染症の場合には、損失額は4兆米ドルに及ぶとも言われている。現在もエボラ熱、MERS、ジカ熱などがパンデミックに該当し、国際社会に大きな不安を呼ぼ起こしている。パンデミックの対応には、発覚初期時に大規模な資金動員を行い拡大を未然に防ぐことが大切だが、これまで資金動員をするための仕組みがなかった。世界銀行グループによると、2014年半ばに発生した西アフリカでのエボラ熱では、発覚時に1億ドルを動員できていれば深刻化を抑えこむことができたが、実際の動員は3ヶ月後となり感染者は10倍にまで膨らんだという。エボラ危機では、犠牲者は1万1,300人以上、損失は少なくとも100億米ドルに上る。対応や復興への援助総額は70億ドル以上となった。

 保険枠は3年間で最大5億米ドルを提供する。対象となる感染症は、新型オルソミクソウイルス(例:インフルエンザA型、B型、C型の新ウイルス)、コロナウィルス(例:重症急性呼吸器症候群:SARS、中東呼吸器症候群:MERS)、フィロウイルス(例:エボラ出血熱、マールブルグ熱など、動物由来性感染症(例:クリミア・コンゴ出血熱、リフトバレー熱、ラッサ熱)などがある。保険の財源は、PEFが、大災害債券(キャット・ボンド)の一種であるパンデミック債を再保険市場で販売し調達する。世界銀行グループがキャット・ボンドを感染症対策に活用するのはこれが初めて。保険金は、科学的データに基づく一定条件を満たせば自動的に対象国や国際機関等に提供される。

 保険スキームでは、事前に保険金支給条件を定めなければならず、未知のウイルスには対応できない。そのため、未知ウイルスによるパンデミック時には現金枠で対応する。今回の仙台の発表では、G7議長国を務めた日本は、PEFに5,000万米ドルを提供する考えを明らかにした。その他の国からの拠出も募る。

【参照ページ】World Bank Group Launches Groundbreaking Financing Facility to Protect Poorest Countries against Pandemics

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